ホンダ・S-MX

S-MX (エス-エムエックス) の概要

S-MX（エス-エムエックス）は、本田技研工業がかつて製造していたトールワゴンスタイルの小型乗用車です。この車は、初代オデッセイの後に導入された「クリエイティブ・ムーバー」の一員で、若者を意識したデザインを採用しています。そのスタイリングは大胆で、フロントバンパーやリアデザインにその特徴が顕れています。

特徴

S-MXは、初代ステップワゴンの長さを短縮したモデルであり、その独自の造形美によってファミリーカーとしてのイメージを湧き上がらせないよう意図されています。広告では「ステップ・バーン」という愛称でも呼ばれ、これは同社の「ステップバン」に対するオマージュとも考えられています。特に、ホンダアクセスや無限などから提供されるエアロパーツが充実し、カスタマイズの幅が広がっている点も魅力の一つです。

また、この車は量産車でありながらも、標準モデルに加え15mmローダウンされた仕様を選べ、低音重視の排気音やサスペンションセッティングがアフターマーケットのカスタマイズとして市販されました。しかし、リアサスペンションの特性によって、ローダウンモデルでは突き上げ感が強くなることもありました。

プラットフォームと設計

メカニズムとしては、ステップワゴンとほぼ同様のプラットフォームを使用していますが、リアオーバーハングが短いため、スペアタイヤの位置が助手席下に配置されています。この配置に伴い、サイドスカートは分割される形になっているなど、設計に工夫が凝らされています。リアドアはスライド式のステップワゴンとは異なり、ヒンジ式の左右異なるドアデザインを採用しており、1-2ドアの構造となっています。このとき、アウタードアハンドルは初代「シティ」のものが流用されています。

エンジンと走行性能

S-MXにはB20B型のエンジンが搭載されており、これは水冷直列4気筒で設計されています。このエンジンは排気量1,972ccで、130PSの出力を持ち、後のモデルでは140PSに向上しました。また、燃料供給方式は電子制御燃料噴射式（PGM-FI）で、無鉛のレギュラーガソリンを使用します。

乗車空間と実用性

車内は、4人または5人の乗車が可能で、4人乗り仕様は前後ともにベンチシートで構成されています。シートは相対的にフラットで、2列を倒すことで「フルフラット」状態を実現でき、キャンピング用途のニーズにも適合しています。また、荷室長は「スペースアップモード」によって1,220mmまで拡大し、必要に応じて装備として機能します。このようにコンパクトな全長は、フェリー料金が安くなるといったメリットをもたらし、特にアウトドアを好む利用者から支持されました。

結論

S-MXは、そのユニークなデザインと機能性から多くの人々に注目を集めましたが、趣味性が強いために実用車としてのステップワゴンほどの人気には至りませんでした。しかし、その独特な存在感と特徴的なスタイルは、今も多くの人々に記憶されています。特に若者層に向けたマーケットでの位置づけは印象深く、個性的な選択肢として輝いていました。

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