ホークビル (競走馬)

ホークビル：世界を駆けた競走馬の物語

アメリカ合衆国生まれ、イギリスで調教された競走馬ホークビル。その名は、2016年のエクリプスステークスと2018年のドバイシーマクラシック制覇という、輝かしいGI競走2勝によって、競馬史に刻まれました。

2013年3月6日、アメリカで誕生したホークビルは、1歳時にはキーンランド1歳馬セールで高額で落札され、イギリスへと渡りました。デビュー戦こそ9着と大敗を喫しましたが、その後は才能を開花させ始めます。2戦目、3戦目と着実に順位を上げ、3戦目で初勝利。さらに翌年には5連勝を飾り、勢いに乗って挑んだエクリプスステークスでは、強豪ザグルカを破り優勝。6連勝でG1馬へと上り詰めたのです。

しかし、その後はG1競走では苦戦が続きました。イギリスだけでなく、フランス、アイルランド、ドイツ、カナダと転戦を繰り返しましたが、G1勝利には届かず、G2とG3を各1勝ずつ挙げるにとどまりました。4歳シーズン終了までにG1競走では9連敗という厳しい現実を味わうこととなります。

しかし、ホークビルの物語はここで終わらなかったのです。5歳になった2018年、ドバイシーマクラシックへの挑戦を決めました。前哨戦のドバイシティーオブゴールドを制し、自信を持って本番に臨みます。レースではポエッツワード、クロスオブスターズ、レイデオロなど、錚々たる強豪を相手に果敢に先行。そして、2着のポエッツワードに3馬身差をつける圧勝劇を演じ、3歳時以来となるG1競走2勝目を手にしました。

このドバイでの勝利が、ホークビルのキャリアにおける最後の輝きとなりました。同年9月のノーザンダンサーターフステークスを最後に現役を引退します。24戦というキャリアは6ヶ国に及び、その活躍はイギリスの調教師チャーリー・アップルビーから「ゴドルフィンの大使」と称えられるほどでした。

引退後は、ダーレーグループのイギリス拠点であるダルハムホールスタッドで種牡馬入り。初年度の種付け料は7500ポンドと設定されました。イギリスで1年間供用された後、2020年からは日本のダーレー・ジャパン・スタリオン・コンプレックスで種牡馬としての活躍を続けています。

ホークビルの血統背景にも注目です。半弟にはブリーダーズフューチュリティステークスの勝ち馬であるフリードロップビリーがいます。さらに、祖母にはバレリーナステークスの優勝馬セラパ、4代母には名種牡馬コジーンの半兄であるライド・ザ・トレイルズが名を連ねています。その血統は、2008年のマイルチャンピオンシップ優勝馬ブルーメンブラットとも繋がっています。そして7代母まで遡ると、ゴドルフィンに所属していたドバイミレニアムと同じ牝系に辿り着くという、興味深い血統背景を持っています。

アメリカで生まれ、イギリスで活躍し、そして日本でもその遺伝子が受け継がれるホークビル。その華麗なる競走生活は、多くの人々に感動と興奮を与え続け、競馬史にその名を刻むこととなりました。 彼の競走馬としての功績、そして種牡馬としての未来は、これからも競馬界に大きな影響を与え続けるでしょう。

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