ノーザンダンサー

ノーザンダンサーの生い立ちと競走馬としての活躍

ノーザンダンサー（Northern Dancer）は、1961年にカナダのオンタリオ州ウィンドフィールズファームで誕生しました。彼の生産者は、ビール醸造業で成功を収めたエドワード・プランケット・テイラーで、当時カナダ最大のサラブレッド生産者として知られていました。父はニアークティックで、母はナタルマという牝馬です。両親の優れた血統を受け継ぎながらも、ノーザンダンサーは競走馬デビュー前に発育が遅れ、体高が154cm程度にしか成長しませんでした。とはいえ、彼はその後の競走で圧倒的な存在感を示します。

1963年、ノーザンダンサーはフォートエリー競馬場でのメイドン戦（未勝利戦）で初めてのレースを迎え、以降3戦2勝の成績を残すことになりました。その後ウッドバイン競馬場に移り、カナダの2歳最大のレースであるコロネーションフューチュリティでは圧勝を飾り、名声が高まりました。ニューヨークへと進出した彼は、アケダクト競馬場でのレムセンステークスで2着馬に7馬身差をつけ、相手を圧倒。これにより、ノーザンダンサーはカナダチャンピオン2歳牡馬に選出されました。

1964年の快進撃

1964年には、アメリカでの競走活動を本格化させます。この年の初戦では敗戦を喫したものの、その後は連勝を重ね、フロリダダービーやブルーグラスステークスに勝利し、ついにケンタッキーダービーに出走しました。ケンタッキーダービーでは激しいバトルが繰り広げられ、1番人気のヒルライズをわずかクビ差でかわし、見事に優勝。この勝利は、当時のレースレコードとなる2分フラットでの決着でした。

二冠目となるプリークネスステークスでは、引き続き良好な成績を収めて優勝しましたが、いよいよ三冠をかけたベルモントステークスでは、直線での伸びに欠けて3着に終わりました。しかし、ノーザンダンサーはカナダへ帰国し、クイーンズプレートで再び雄姿を見せ、2着馬に7馬身半の差をつけての勝利を収めました。この年の成績は9戦7勝であり、ノーザンダンサーは満票でカナダの年度代表馬およびアメリカの最優秀3歳牡馬に選出されることとなりました。

種牡馬としての成功

ノーザンダンサーは1965年にウィンドフィールズファームで引退し、種牡馬としての道を歩み始めました。彼の初年度の種付け料は1万ドルでしたが、その人気はすぐに高まり、1968年には初めての産駒が競走馬としてデビューし、イギリスのニジンスキーがクラシック三冠を達成します。ノーザンダンサーは、後に146頭のステークス競走優勝馬を輩出し、1970年代にはイギリス、アメリカでリーディングサイアーに輝くことになります。

1984年には種付け料が公示価格で95万ドルに達し、ノーザンダンサーバブルと呼ばれる珍事が発生。この影響力は計り知れず、彼の血脈は競馬界において絶対的な存在感を放つこととなりますが、1987年に引退を余儀なくされ、その後は静かな余生を送ることに。1990年11月、ノーザンダンサーは安楽死の処置が取られ、遺体はウィンドフィールズファームに埋葬されました。

ノーザンダンサーの功績と影響

ノーザンダンサーはその競走馬としての成果だけでなく、後の競馬界にも多大な影響を与えました。多くの成功した子孫を持ち、彼に匹敵する種牡馬としての地位を築く者が相次ぎ登場しました。1992年にはウッドバイン競馬場に銅像が建立され、その偉業を称える存在となっています。ノーザンダンサーは、カナダの競馬界のみならず、世界中のサラブレッド競走馬においても永遠の名馬として語り継がれています。

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