ホーリネス和協分離

ホーリネス和協分離

ホーリネス和協分離は、日本ホーリネス教会内で生じた内部対立を背景に、正式に分離が成立した事例を指します。1933年の初め、教会内の指導者たちが再臨やユダヤ人問題に関する新しい指針を巡って意見の相違を抱え、臨時総会が招集されることとなります。これにより、教会内では中田重治監督を支持する勢力とそれに対抗する勢力の間に深刻な対立が生じることになりました。

分裂の経緯

1933年に行われた臨時総会では、中田監督の解職案が可決されたものの、その決定を中田監督が非合法と見なしたため、事態は一層深刻化しました。その後、中田監督側は監督の支持者を集め、解職された教授陣を解任する動きを見せました。これに対し、委員側は調整役を立て、和解を試みたものの、双方の意見の食い違いから進展は見られませんでした。

和解の模索

この分裂に心を痛めた教会のメンバーたちは、何度も会議を開きましたが、合意には至りませんでした。1936年になると、田川太吉郎などが再度調停を試み、法律家を交えた協議が始まります。検事の勧告により、双方が妥協する方向で話が進むことになりました。中田と委員側がそれぞれ仲介者を立てて交渉する形が取られました。

和協覚書の成立

このような経緯を経て、1936年10月19日に和協覚書が成立します。この覚書では、中田監督派と委員側はそれぞれ独立した組織としての運営を続けることが決定されました。この決定は、それぞれの信仰の違いから生じたものであり、組織としての分立を余儀なくされる結果となったのです。

和協午餐会の開催

その後、1936年11月28日には鉄道ホテルで和協午餐会が開かれました。中田重治らが出席し、集まった関係者が和解の雰囲気を味わいました。参加者同士の握手や心温まる挨拶が交わされたこの会は、両派のその後の関係構築の象徴でもありました。

和協報告会と新団体の設立

1936年12月21日には、青山学院神学部講堂で和協報告感謝会が行われました。ここでは両派の代表者たちが集まり、和協の意義や今後の展望について語り合いました。この会を経て、日本ホーリネス教会と中田派はそれぞれ、独立した「日本聖教会」および「きよめ教会」としての道を歩むことが正式に決定されました。

結論

ホーリネス和協分離は、教会の分裂の過程において、多くの人々が和解を目指し努力した結果、組織が分かれることとなった事例です。この出来事は、信仰の違いが生じた際のひとつの解決策を示唆するものであり、また、教会史の中で語り継がれるべき重要なエピソードと言えるでしょう。

もう一度検索