ホーリー・トリニティ教会 (ジブラルタル)

ホーリー・トリニティ教会聖三一大聖堂について

ホーリー・トリニティ教会聖三一大聖堂は、ジブラルタルの中心にそびえ立つ歴史的な建物であり、イングランド国教会の主教座聖堂にあたります。この教会は、ジブラルタル教区の重要な宗教施設であり、地元の人々や観光客にとっても特別な意味を持っています。一般にはジブラルタル教会と呼ばれますが、ローマ・カトリック教会のセント・マリー・ザ・クラウンズ教会とは異なるため、混同しないよう注意が必要です。

建築様式と歴史

ホーリー・トリニティ教会の建築は、古代ムーア様式の影響を受けています。特に特徴的なのは、馬蹄形のアーチが教会のデザインに取り入れられている点です。これらのアーチは、かつてのムーア人の支配を反映したもので、ジブラルタルの豊かな歴史を物語っています。

この教会の建設は19世紀にさかのぼります。ジブラルタルに住む聖公会信者たちの要望がきっかけとなり、及び当時使用されていたキングス教会が主に軍事用途に限られていたことから、地元の信者たちに新たな宗教施設が必要とされました。1820年、チャタム伯爵ジョン・ピットがジブラルタル総督として着任し、使われていない施設を売却して資金を確保し、1832年に教会が完成しました。実際の設計は不明ですが、工事は王立工兵のピルキントン大佐が監督しました。

完成する前の1830年代には、黄熱病が流行した際に一部が救急病院として使われたこともありました。教会は1838年にエドワード・バロー副主教によって正式に聖別され、1842年には主教座聖堂に昇格し、初代主教が任命されるなど、その重要性が増していきました。

20世紀の影響

第二次世界大戦中、ホーリー・トリニティ教会は大きな被害を受けることはありませんでしたが、戦後は教会の発展に向けた取り組みが行われました。特に、ハロルド・バクストン主教がマルタとジブラルタルの主教座聖堂を支援するための基金を募り、その資金を新しい礼拝堂の建設に使いました。

また、1951年には補給艦の爆発により教会の屋根が損傷し、ステンドグラスも割れてしまいましたが、破損したガラスは新しいステンドグラスの制作に利用され、その結果、教会内部は新しい装飾で彩られました。

聖職者と教会の役割

ホーリー・トリニティ教会では、主席司祭（Dean）と呼ばれる聖職者が建物を管理し、ジブラルタル港の牧師を兼任する戒律先唱者（Canon Precentor）がその役割を担います。また、主教座聖堂参事会員が無給で奉仕する体制になっています。ジブラルタル主教は広範囲な教区を受け持つため、実際にはイングランドのロンドン・ガトウィック空港の近くに居住しています。

このように、ホーリー・トリニティ教会聖三一大聖堂は歴史的・文化的な価値を有し、ジブラルタルにおける信仰の中心として重要な役割を果たしています。

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