ボザ

ボザ：伝統的な発酵飲料

ボザ（Boza）は、トルコを中心にバルカン半島や中央アジアで親しまれている発酵飲料です。麦芽を使用して作られ、トルコの他にもアルバニア、ブルガリア、ウクライナ、キルギスタンなど様々な地域で楽しまれています。ボザの特徴はどろっとした粘度と、その甘い香りの中に感じられるかすかな酸味です。アルコール度数は一般的に約1%と低く、多くの国々ではお酒として広く受け入れられています。

歴史

ボザの起源は10世紀ごろの中央アジアにさかのぼります。当時、ボザはカフカース地方やバルカン半島に広がり、オスマン帝国の時代には特に人気を博しました。この時期、多くの都市でボザの醸造が盛んになり、経済活動の一環として重要な役割を果たしていました。16世紀になると、アヘンを混ぜたボザが問題視され、スルタンのセリム2世によって禁止令が出されました。この禁止令は、白色で甘いノンアルコールのボザにも影響を及ぼしました。

17世紀にはスルタンのメフメト4世によってアルコール飲料全般が禁じられ、ボザを扱う商店が閉店することとなりますが、エヴリヤ・チェレビの記録によれば、ボザは依然として広く飲まれていました。彼は当時、イスタンブールに300のボザ屋が存在し、ボザを作る職人が多く雇われていることを記しています。ボザはイェニチェリの兵士たちに好まれ、体を温める効果や健康に良いとされていました。

19世紀に入ると、オスマン帝国の宮殿で甘いノンアルコールのスタイルのボザが人気を集めます。この影響で、酸味が強くアルコールの入ったボザの人気は低下しました。1876年には、ハジ・イブラヒムとハジ・サディク兄弟がイスタンブールにボザの専門店を開店し、現在もその味を守り続けています。

生産と保管

ボザはトルコやバルカン半島の多くで生産されています。使用する穀物の種類によって風味が異なり、トルコ科学技術研究所によって栄養価が高い飲料として評価されています。ボザ1リットルは約1000カロリーで、ビタミンA、B、Eを多く含んでおり、発酵によって生じる乳酸も消化を助けるとされています。

伝統的なトルコの売り手は、ボザを冷所で保存する必要があるため、夏季には販売しないことが一般的でした。しかし、冷蔵庫の普及と需要の増加に伴い、現在では年間を通じてボザを手に入れることができるようになりました。また、ブルガリア、アルバニア、マケドニアなどでは清涼飲料水として通年で製造されています。

トリビア

ボザは女性の胸を大きくする効果があると言われ、母乳の生産を促す作用があるともされ、特に授乳期の女性には推奨されています。ボザの飲用は伝統的な文化の一部として根付いており、その健康効果についても多くの人々に信じられています。

ボザは、古い歴史を持ちながらも今でも多くの人々に愛され、大切にされ続けています。その風味や栄養価の高さから、今後もその存在感は続いていくことでしょう。

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