ボタン (服飾)

ボタンについて

ボタンは、衣服や手提げバッグ、靴などさまざまなアイテムに用いられる止め具で、通常は実用性と装飾性を兼ね備えています。衣類のデザインにおいてボタンは重要な要素であり、その数や配置によって印象が大きく変わります。主にポルトガル語の「botão」から由来するとされていますが、その歴史はかなり古く、古代エジプトの時代から存在していたと考えられています。

歴史

ボタンの正確な起源は明らかではありませんが、証拠に基づくと、約5000年前のモヘンジョダロ遺跡で発見された湾曲した貝から作られたボタンが最古とされています。その後、13世紀頃にボタンが広まり、特にフランスにおいて16世紀から17世紀にかけて大量生産が始まります。日本では、江戸時代の終わりに牛骨や金属で作られた留め具が見られるようになり、明治時代に本格的なボタンの製造が開始されました。

1860年代のオーストラリア北東部では真珠貝の採取が盛んで、日本の海人も働きに訪れたことが、後の日本人移民につながったとも言われています。

語源

ボタンの語源は古ラテン語の「bottare」または古ゲルマン語の「boton」にさかのぼるとされています。後者は「蕾」を意味し、かつてボタンが花の蕾に似た形状をしていたことに由来するとの説があります。日本では「ボタン」という名称が使われるようになったのは江戸時代中期からとされ、名残を残す形で西洋文化が流入してきたことが伺えます。

素材

ボタンにはさまざまな素材が使われており、天然素材から金属、プラスチック、ガラス、陶器など多岐にわたります。具体的には、白蝶貝や真珠貝、金属製のボタン、プラスチック製のボタン（ユリア樹脂系やカゼインボタンなど）、さらに木材や革、布なども利用されます。また、複数の素材を組み合わせたデザインのボタンも多く、特に高級素材や芸術性の高いデザインのものは珍重され、高額で取引されることもあります。

形状

ボタンの基本的な形状には丸型や角型、花型、平型などがあり、特に丸型が多く見られます。また、ボタンには通常2つまたは4つの穴が空いており、さまざまな方式で取り付けられます。設計によっては足付きのものや、穴のないものも存在します。最初は糸を使って固定されていましたが、南フランスでボタンホールの概念が考案されたことにより、布と布を直接固定できるようになりました。

寸法

ボタンのサイズは多様で、一般的な使用サイズとしては、ボタンダウンの衿先に9ミリメートル、前身頃や手口に10ミリメートル、カフスやカフリンクスには11.5ミリメートルが主流です。背広の前面に付くボタンは20ミリメートル、外套の前面ボタンは男女で異なり、男性用は23から25ミリメートル、女性用は28から30ミリメートルとされています。

文化的側面

日本では11月22日が「ボタンの日」として記念日協会に登録されています。この日は1870年に日本海軍が制服にボタンを採用したことにちなんでおり、さらに卒業式の際に学生が好きな相手に第二ボタンを渡す伝統行事が存在します。この風習は「ハートをつかむ」象徴として、特に若者の間で根付いています。また、慣用句として「ボタンの掛け違い」が用いられることからも、ボタンの重要性が伺えます。

ボタンは、単なる留め具としての機能以上に、ファッションの一部としてデザイン性や文化的意義を持っていると言えるでしょう。

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