ボニファーチョ1世 (モンフェッラート侯)

ボニファーチョ1世デルモンフェッラート：十字軍の指導者、テッサロニキ王

ボニファーチョ1世デル・モンフェッラート（1150年頃 - 1207年9月4日）は、中世ヨーロッパの重要な人物の一人です。彼はモンフェッラート侯（在位：1192年 - 1207年）であり、第4回十字軍の指導者として、その名を歴史に刻みました。コンスタンティノープル攻略後にはテッサロニキ王国を建国し、初代テッサロニキ王（在位：1205年 - 1207年）として短いながらも重要な統治を行いました。

生涯

ボニファーチョは、モンフェッラート侯グリエルモ5世とジュディッタ・ダウストリアの三男として生まれました。彼の家系は十字軍との関わりが深く、兄のグリエルモはエルサレム王女と結婚し、ボードゥアン5世の父となりました。また、別の兄コンラートは第3回十字軍でティルスの防衛に貢献し、エルサレム女王イザベルと結婚しています。

ボニファーチョ自身も若い頃から武勇に優れ、数々の冒険譚がトルバドゥールによって戯曲化されています。彼は神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世やハインリヒ6世に仕え、ホーエンシュタウフェン朝のイタリア政策に参加しました。1192年に兄の跡を継いでモンフェッラート侯となり、1194年からはシチリア遠征にも参加しています。

モンフェッラート家は、ヨーロッパの有力な家系と婚姻関係を結び、フランス王や神聖ローマ皇帝とも親戚関係にありました。当時のピエモンテは文化の中心地として栄え、宮廷には多くの詩人や騎士道物語が集まりました。

第4回十字軍

1201年、第4回十字軍の指導者であったシャンパーニュ伯ティボー3世が亡くなった後、ボニファーチョは新たな指導者として選ばれました。彼の軍事的な実績、ヨーロッパ王家との繋がり、そしてエルサレム王国や東ローマ帝国に関する深い知識が評価されたのです。同年、ボニファーチョはローマ王フィリップの元を訪れ、フィリップの義弟である東ローマ帝国の亡命皇子アレクシオス（後のアレクシオス4世）と会談し、コンスタンティノープル攻撃の計画が立てられたとされています。

第4回十字軍は、ヴェネツィア共和国の思惑も絡み合い、ハンガリー王国のザラを攻略した後、アレクシオスの要請に応じてコンスタンティノープルを攻略しました。

テッサロニキ王国

1204年のコンスタンティノープル攻略後、ボニファーチョはアレクシオス4世の父イサキオス2世の未亡人マルギトと結婚しました。彼はラテン帝国皇帝の有力候補と見なされていましたが、ヴェネツィアの意向によりフランドル伯ボードゥアン9世が皇帝に選ばれました。これに対し、ボニファーチョはボードゥアン1世と対立し、ギリシャでテッサロニキ王国を建国しました。

しかし、1207年9月、ボニファーチョはブルガリア帝国のカロヤンに急襲され、戦死しました。モンフェッラート侯国は先妻の子であるグリエルモ6世が、テッサロニキ王国は後妻マルギトの子であるデメトリオがそれぞれ継承しました。

家族

ボニファーチョは、ヘレナ・デル・ボスコとの間に以下の子をもうけました。

グリエルモ6世：モンフェッラート侯
ベアトリーチェ：サヴォーナ侯エンリコ・デル・ヴァストと結婚
アニェーゼ：ラテン皇帝アンリと結婚

また、マルギトとの間には以下の子がいました。

デメトリオ：テッサロニキ王

ボニファーチョ1世デル・モンフェッラートは、その生涯を通して、軍事、政治、そして文化において重要な役割を果たしました。彼の行動は、中世ヨーロッパの歴史に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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