ボビー・リッグス

ボビー・リッグス: テニス界の先駆者

ボビー・リッグス（Bobby Riggs）は、1918年2月25日にカリフォルニア州ロサンゼルスで生まれ、1995年10月25日にこの世を去ったアメリカの男子テニス選手です。本名はロバート・ラリモア・リッグス。彼のキャリアは1930年代から1940年代にかけて活躍し、数々の偉業を成し遂げました。

テニスの道の始まり

リッグスは12歳の頃にテニスを始め、1936年から全米選手権に出場するようになりました。1937年には二度目の全米選手権で第2シードに選ばれ、準決勝ではゴットフリート・フォン・クラムに敗れましたが、その過程で日本の中野文照選手を破るなど印象的な試合を展開しました。1938年には、史上初の「年間グランドスラム」を達成したドン・バッジに続く形で、彼の時代が到来します。

ウィンブルドン選手権の偉業

リッグスが1939年に出場したウィンブルドン選手権では、男子シングルス、男子ダブルス、混合ダブルスの3部門での優勝を果たし、驚異的なハットトリックを達成します。男子シングルスではエルウッド・クックを破り、ダブルスではそのクックとペアを組んで、また混合ダブルスではアリス・マーブルと共に優勝するという快挙でした。彼のウィンブルドン選手権での唯一の出場時にこれらのタイトルを手にしたことは、今なお伝説として語り継がれています。

戦争と再起

第2次世界大戦中、多くのテニス大会が中止に追い込まれる中、全米選手権は続行されました。1940年には男子シングルス決勝でドン・マクニールに敗れ、2連覇を逃しますが、混合ダブルスで優勝を飾ります。1941年には、再び男子シングルスのタイトルを手に入れ、アマチュア生活を卒業し、プロテニス選手へと転向しました。その後もバッジなどの選手と共に試合を続け、1967年には国際テニス殿堂入りを果たします。

男女対抗試合とテニスの未来

1973年、リッグスは55歳にして久々に公の舞台に戻り、マーガレット・コート夫人とビリー・ジーン・キング夫人との「男女対抗試合」を行いました。特に、キング夫人との試合は「The Battle Of The Sexes」として広く知られ、スポーツ界における男女の平等について大きな話題を呼びました。この試合は数万人の観客を集め、テレビ中継でも多くの視聴者が見守る中、キング夫人がリッグスを破りました。

自伝と晩年

リッグスはこの試合の後、自伝『Court Hustler』を出版し、自らの経験を多くの人々とシェアしました。リッグスの生涯は、重大な試合だけでなく、テニスに対する情熱や、男女の権利運動にも一役買ったことでも特筆されます。彼は1988年に前立腺癌と診断されて以降、静かな生活を送り、1995年に77歳で亡くなりました。ボビー・リッグスの死は、彼のテニスキャリアの偉大な功績を偲ぶ足跡として、今も歴史の中で生き続けています。

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