ボフォース 60口径40mm機関砲

ボフォース 60口径40mm機関砲

ボフォース 60口径40mm機関砲（英語: Bofors 40mm L/60 autocannon）は、1930年代初頭にスウェーデンのボフォース社が開発した機関砲です。第二次世界大戦では、連合国軍を中心に、対空砲として広く使用されました。その高い信頼性と有効性から、戦後も長く使われ続けました。

開発経緯

1920年代初頭、急降下爆撃機の登場により、軍艦の防空能力が懸念されるようになりました。当時、高角砲と機関銃が対空兵器として使用されていましたが、高角砲は低空目標への対応が難しく、機関銃は射程が短く、その間を埋める機関砲が求められました。

1922年、スウェーデン海軍は39口径40mm機関砲を導入しましたが、大型で動作不良が多かったため、ボフォース社に新型40mm機関砲の開発を依頼しました。1928年11月に開発要求が発出され、1931年11月には試射が行われました。

一方、海軍委員会は、より小口径で高発射速度の機関砲にも興味を示しており、他国の機関銃・砲の射撃試験を実施しましたが、いずれも不満足な結果に終わりました。その後、ボフォース社に対して小口径機関砲の開発要求も発出しましたが、最終的に40mm口径モデルが採用されました。

1932年、まずは25mm対空機関砲と潜水艦搭載用40mm機関砲が発注され、並行して60口径長のモデルの開発も進められました。1934年には試作品が完成し、社内ではモデル1934と称されました。1936年には陸・海軍が発注を行い、陸軍向けモデル（40 mm lv-akan m/36）と海軍向けモデル（40 mm automatpjäs M/36）が同時に装備化されました。

設計

砲本体は、砲身、砲尾環、尾筒覆いで構成されています。砲身の正確な長さは56.25口径ですが、ボフォース社の文書では分かりやすさのため、1の位を切り上げて「60口径」として扱っています。ライフリングは16条で、漸増転度式を採用しています。

当初はニッケルクロム鋼による鍛造モノブロック構造で、陸上用は空冷式、艦載用は水冷式とされていました。砲身命数は9,500～10,000発とされています。最初期にはマズルブレーキが付いていましたが、試験の結果不要と判断され、フラッシュハイダーのみになりました。

本砲は、垂直鎖栓式の閉鎖機を使用しており、1880年代に開発された57mm速射砲をベースにしています。尾筒覆いは四角形の断面を持ち、砲尾機構と装填機構の一部を構成します。

自動機構は反動利用式で、発砲の反動で砲身と砲尾が後座すると鎖栓が開き、空薬莢が排出されます。後座長は195～200mmです。排莢後、液体緩衝器によって後座が止まると、ばねの力で砲身・砲尾は復座に転じます。給弾は4発入りの挿弾子によって行われます。

外見はドイツの3.7 cm FlaK 36/37と似ていますが、技術的な関連はありません。

運用史

本砲は各国で注目を集め、1933年にはオランダ、1934年にはポーランドから発注を受けました。1934年11月には、アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、ハンガリー、スイスからも見学者が訪れました。

イギリス

イギリスは、1933年の報告で本砲を知り、ヴィッカース QF 2ポンド・ポンポン砲の代替として注目しました。1937年4月に発注しましたが、ボフォース社の供給能力を上回ったため、ライセンス生産も開始されました。ポーランドでのライセンス生産分は、1937年末にはイギリスに配備されました。イギリス国内での生産は1939年6月15日に開始されました。

イギリス海軍では、1940年のノルウェーからの撤退時に、陸軍保有の砲を軍艦に設置したのが最初でした。その後、正式に採用され、戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」にも搭載されました。海軍では水冷式の砲身と連装式のマウントを組み合わせたヘイズメイヤー式マウントが採用され、後にアメリカ海軍の設計を基に軽量化されたMk Vマウントが開発されました。また、大型艦には6連装のMk VIマウントも搭載されました。

STAAGやバスターといったより複雑なマウントも開発されましたが、信頼性の問題からMk Vに再換装される場合もありました。一方、軽量で単純な単装型のMk 7マウントも開発され、後のMk 9で代替されました。フォークランド紛争中の1982年5月27日には、揚陸艦「フィアレス」「イントレピッド」搭載のMk 9が、アルゼンチン軍のA-4B攻撃機を撃墜しています。

アメリカ

アメリカは、1940年8月に本砲の試射を行い、既存の機関砲と比較して優越性を確認しました。特に海軍は、既存の28mm機関砲に問題を抱えていたため、本砲の導入を熱望しました。陸軍も低高度防空の強化を急務と考えており、本砲の調達を急ぎました。クライスラー社が陸軍向け、ヨーク社が海軍向けの生産を担当しましたが、互換性の問題も発生しました。

アメリカでの生産分の引き渡しは1942年に開始され、陸軍ではM1 40mm機関砲として制式化されました。海軍は連装マウント（Mk 1）を標準装備とし、大型艦には4連装マウント（Mk 2）も導入しました。また、陸軍式の空冷砲を用いた単装マウント（Mk 3）も、駆逐艦や潜水艦、上陸用舟艇などに広く搭載されました。

アメリカ軍では、1950年代後半までに本砲は退役しましたが、哨戒艦や予備船隊では依然として使用されました。ベトナム戦争では、河川砲艇やAC-130ガンシップに搭載され、対地射撃に活躍しました。

日本

日本軍も、太平洋戦争序盤にイギリス軍から鹵獲した本砲をコピーし、五式四十粍高射機関砲として完成させました。しかし、製造に手間取り、陸軍で2門、海軍で35門の生産に留まりました。

戦後、陸上自衛隊や海上自衛隊、海上保安庁も、アメリカ軍からの供与を受けて運用しました。

運用国一覧

[ここに運用国一覧]

登場作品

様々なゲームに登場しています。

『Naval Craft』
『R.U.S.E.』
『Wargame Red Dragon』
『War Thunder』
『World of Warships』
『Zombie Gunship Survival』
『エースコンバット アサルト・ホライゾン』
『艦隊これくしょん -艦これ-』
『アズールレーン』
『コール オブ デューティシリーズ』
『トータル・タンク・シミュレーター』
『バトルフィールドシリーズ』
『メタルギアソリッド3』

脚注

注釈

[ここに注釈]

出典

[ここに出典]

参考文献

Campbell, N. J. M. (1986), Naval Weapons of World War Two, Naval Institute Press
Gander, Terry (2013). The Bofors Gun. Pen and Sword.
International Institute for Strategic Studies (February 2016). The Military Balance 2016. 116. Routledge.
Williams, Anthony G. (27 December 2013), BOFORS AUTOMATIC CANNON
梅野和夫「日本海軍の海防艇について」『世界の艦船』第320号、海人社、1983年4月。
河野哲子「ニュルンベルクの幻影 : ローラ・ナイトは何を描いたのか」『IVY』第53号、名古屋大学英文学会、2020年12月15日。
佐山二郎『日本陸軍の火砲 機関砲 要塞砲 続』光人社、2012年。
藤木平八郎「ボフォース40ミリ機銃物語」『世界の艦船』第375号、1987年2月。

関連項目

ボフォース 70口径40mm機関砲
* M1939 37mm連関砲（61-K）

外部リンク

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