ボボナロ県

ボボナロ県は、東ティモールの13県の一つで、西部に位置しています。面積は1,368平方キロメートルで、西部では2番目に大きい県です。2008年の推計では、9万3787人が暮らしており、アタバエ、バリボー、ボボナロ、カイラコ、ロロトイ、マリアナの6つの地区で構成されています。ポルトガル領ティモール時代には、現在のボボナロにあたるヴィラ・アルミンド・モンテイロが県都でした。

地理的には、北はサヴ海に面し、北東はリキシャ県、東はエルメラ県、南東はアイナロ県、南はコヴァ・リマ県、西はインドネシアの東ヌサ・トゥンガラ州と接しています。県都は国内4番目の都市であるマリアナで、2004年時点では1万3200人の人口を抱えていました。マリアナは首都ディリから南西に149キロメートルの位置にあり、南緯9度00分、西経125度22分に位置しています。次に大きな都市はボボナロで、別名アウバーとも呼ばれており、人口は約6700人です。また、ロロトイにも約3800人が暮らしています。

ボボナロ県は、インドネシアとの国境をまたぐ幹線道路上に位置するマタイン村も擁しています。雄大な山々と温泉は、この県が国内で人気の高い理由の一つです。しかし、東ティモールの独立戦争中には、この地は悲劇の舞台となりました。ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、インドネシア国境から約17キロ離れたバリボーでは、住民投票前に民兵による襲撃があり、建物の7割が破壊されたとされています。さらに、バリボーでは1975年10月16日、インドネシア侵攻時に5人のオーストラリア人ジャーナリストがインドネシア軍によって殺害されるという痛ましい事件も発生しました。

東ティモールの公用語はテトゥン語とポルトガル語ですが、ボボナロ県では、マレー・ポリネシア語派のブナク語とケマク語も広く使用されています。これらの言語も憲法で「公用語」と定められており、ボボナロ県の多様な文化を象徴しています。ボボナロ県は、その美しい自然と歴史的な背景から、観光客にとっても魅力的な場所でありながら、過去の悲劇を忘れてはならない場所でもあるのです。この地域を訪れる際には、その歴史を理解し、平和を祈ることが大切です。また、豊かな自然や多様な文化に触れることで、この地の魅力をより深く感じることができるでしょう。

ボボナロ県の主要産業は農業であり、コーヒー豆の生産が盛んです。また、観光業も徐々に成長しており、温泉や山々を楽しむために多くの観光客が訪れます。ボボナロ県の人々は、独立戦争の困難を乗り越え、コミュニティの再生と発展のために努力を続けています。彼らの生活や文化に触れることは、東ティモールの歴史と現在を理解する上で非常に重要です。この地域では、地元の人々との交流を通じて、東ティモールの温かいおもてなしを感じることができるでしょう。

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