ポマーン

ポマーン(Pommern、1912年～1935年)は、イギリス競馬史にその名を刻んだサラブレッド競走馬にして種牡馬です。第一次世界大戦という激動の時代を駆け抜け、類まれな才能で英国競馬界に衝撃を与えました。

1912年生まれのポマーンは、ソロモン・バーナート・ジョエル氏所有のメイデンアールスタッドで生産されました。競走馬としてのデビューは1914年。第一次世界大戦の影が伸びる中、若きポマーンは幾多のレースを戦い抜きます。そして1915年、戦争によって通常のクラシック競走が開催できない状況の中、ニューマーケット[[競馬場]]で開催された代替クラシック競走において、歴史的偉業を達成しました。

この年、ポマーンは2000ギニーステークス、ニューダービー(代替ダービー)、そしてセプテンバーステークス(代替セントレジャー)と、三冠競走すべてを制覇。代替クラシックとはいえ、史上11頭目となる英国クラシック三冠馬の栄誉に輝いたのです。この快挙は、戦争の混乱の中、競馬関係者のみならず多くの人々に希望と感動を与えました。

1916年、華々しい競走生活に終止符を打ち、ポマーンは故郷のメイデンアールスタッドに戻り、種牡馬としての道を歩み始めます。その競走成績から、当初は300ギニーという高額な種付け料が設定されました。しかし、期待されたほどの活躍馬を輩出することはできず、同父種牡馬であるファラリスなどとは対照的な結果となりました。

それでも、ポマーンの血統は確実に受け継がれていきます。代表産駒として挙げられるのは、1924年生まれのアダムズアップルです。アダムズアップルは1927年の2000ギニーステークスを制し、父ポマーンの名声を少しばかり高めました。現代ではポマーンの父系は途絶えていますが、1950年代頃まではその血統は存在し、1958年のグランドナショナル優勝馬ミスターワット(1950年生まれ)は、ポマーンから4代続く子孫にあたります。

ポマーンは、1935年6月26日、22歳でその生涯を終えました。その短いながらも華麗な競走生活、そして種牡馬としての貢献は、英国競馬史に深く刻まれた、重要な足跡と言えるでしょう。彼の活躍は、戦争の時代においても、人々に夢と希望を与え続けた、真の英雄の物語です。

主な勝鞍は以下の通りです。(当時はグループ制未導入)

1914年(2歳):
リッチモンドステークス
インペリアルプロデュースプレート

[1915年]:
2000ギニーステークス
ニューダービー
セプテンバーステークス
ライムキルンステークス
クレイヴァンステークス(2着)

1916年(4歳):
ジューンステークス

ポマーンの血統表、そしてより詳細な競走成績については、netkeibaやJBISサーチなどの競馬情報サイトをご参照ください。

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