ボル (北欧神話)

北欧神話に登場するボル（古ノルド語: Borr または Burr）は、謎に包まれた神です。彼は、神々の祖であるブーリの息子であり、主神オーディンの父親として知られています。

スノッリ・ストゥルルソンの『散文のエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第6章において、ボルに関する記述を見ることができます。それによれば、ボルはヨトゥン（巨人）のボルソルンの娘であるベストラという女性を妻に迎え、三人の息子を授かりました。その息子たちとは、オーディン、ヴィリ、ヴェーという、後の神話において重要な役割を果たす神々です。

しかし、『散文のエッダ』において、ボルに関する記述は非常に限られています。上記の一度言及された後は、二度と彼の名が登場することはありません。スカルド詩や『詩のエッダ』においては、オーディンが「ボル（ブル）の息子」と呼ばれることがありますが、ボル自身に関する詳しい情報はほとんどありません。他の文献においても、ボルの名前を見つけることは稀であり、神話における彼の具体的な役割も不明な点が多いのが現状です。

興味深いことに、古代北欧においてボルが実際に信仰されていた形跡は確認されていません。これは、彼が神話上の存在としてのみ語り継がれてきた可能性を示唆しています。オーディンの父という重要な位置づけにも関わらず、その生涯や業績がほとんど語られていないことは、彼が神話の中でどのような役割を担っていたのか、更なる探求が必要であることを示唆しています。

ボルに関する研究は、北欧神話の起源や神々の系譜を理解する上で重要な意味を持つと考えられます。彼の存在は、神話の複雑さを示すとともに、失われた古代の信仰や文化を垣間見せてくれるかもしれません。

関連語句:

ブーリ
ベストラ
オーディン
ヴィリ
ヴェー
天地創造

もう一度検索