ボルゲーゼ家

ボルゲーゼ家は、イタリアの貴族であり、シエナを起源とするローマ貴族の家系です。

シエナのボルゲーゼ家

ボルゲーゼ家は1238年に創始され、13世紀以来、外交官や法学者を輩出してシエナで名声を確立しました。

ローマのボルゲーゼ家

16世紀、マルカントニオ・ボルゲーゼ (1504～1574) の時代にローマへ移住しました。その息子であるカミッロ・ボルゲーゼ (1552-1621) が教皇パウルス5世に選出されたことで、ボルゲーゼ家は隆盛を極めることとなります。

スキピオーネ・ボルゲーゼ (1576-1633) は、パウルス5世の甥であり、ネポティズム（縁故主義）によって枢機卿に任命されました。彼は1605年にローマの80ヘクタールのブドウ畑にボルゲーゼ公園を建設しました。スキピオーネは教皇庁の要職を占める一方で、芸術家を保護し、絵画や彫刻のコレクションに尽力しました。1608年にはティツィアーノ・ヴェチェッリオの『キューピッドに目隠しをするヴィーナス』を取得し、彫刻家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニに『アポロンとダフネ』の制作を依頼、1625年にボルゲーゼ公園に展示しました。また、画家グイド・レーニのパトロンでもありました。しかし、ボルゲーゼ家の縁故主義は教会の内外から批判を浴び、1692年に教皇インノケンティウス12世によって禁止されることとなりました。

マルカントニオ2世 (1598-1658) は、カミッロの別の甥であり、スペイン王フェリペ3世からスルモナ侯の称号を授与され、ローマの名門貴族オルシーニ家の娘と結婚して広大な領地を獲得しました。

マルカントニオ3世 (1660-1729) はナポリ副王の地位を得ました。

マルカントニオ4世・ボルゲーゼ (1730～1809) は、美術愛好家として知られています。

マルカントニオ4世の子であるカミッロ・フィリッポ・ボルゲーゼ (1775～1832) は、ナポレオン1世の妹ポーリーヌ・ボナパルトと結婚し、ナポレオン体制下でピエモンテ総督となりました。しかし、カミッロ・フィリッポはボルゲーゼ・コレクションを売りに出し、そのコレクションを入手したルーヴル美術館の所蔵品は充実しました。ナポレオンが失脚すると、ポーリーヌと離婚して隠遁生活を送りました。

ユニオ・ヴァレリオ・ボルゲーゼは、イタリア海軍の軍人であり、ファシストとして活動しました。

美術品コレクション

ボルゲーゼ家の歴代の美術品コレクションは、現在ローマのボルゲーゼ美術館で公開されています。アントニオ・カノーヴァの彫刻『Paolina Borghese（パオリーナ・ボルゲーゼ）』などが収蔵されています。

関連項目

* ボルゲーゼ美術館

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