ボロヴィチ

ボロヴィチは、ロシアのノヴゴロド州に位置する都市であり、州内ではノヴゴロドに次ぐ規模を誇ります。2021年の人口は約4万7883人です。州都ノヴゴロドから東へ194km、ムスタ川のほとりに位置し、ヴァルダイ丘陵の北端に広がっています。

ムスタ川は、ボロヴィチの上流で急流となるため、ラフティングの名所として知られ、多くの観光客が訪れます。

歴史

ボロヴィチの名前が文献に初めて登場したのは1495年のことです。1770年には、エカチェリーナ2世によって都市としての地位を与えられました。当時、ボロヴィチの人々の主な仕事は、ムスタ川の急流地帯を航行する船の水先案内でした。ムスタ川は、上流にあるヴイシニー・ヴォロチョークを経由して、ネヴァ川水系とヴォルガ川水系を結ぶ重要な水路でした。ネヴァ川はバルト海に流れ込み、ヴォルガ川はロシア内陸部の広範囲を流れているため、ムスタ川の水先案内はロシアの物流において非常に重要な役割を担っていました。そのため、ボロヴィチの紋章には船の舵が描かれています。

しかし、19世紀になると、ヴォルガ川とバルト海を結ぶマリインスク運河が完成し、さらにモスクワとサンクトペテルブルクを結ぶ鉄道が開通したことで、ムスタ川の水運は衰退していきました。

水運が衰退した一方で、ボロヴィチ周辺で耐火粘土の原料が発見されたことが、新たな産業の発展につながりました。1855年には最初の耐火煉瓦工場が建設され、1878年にはモスクワとサンクトペテルブルクを結ぶ鉄道の支線がウグロフカから延伸されました。1880年代には、さらに大規模な耐火煉瓦工場が次々と建設されました。現在でも、ボロヴィチの住民の約半数は耐火煉瓦の製造に関わっています。

ボロヴィチは、水運の要衝として栄えた歴史と、耐火煉瓦の生産地としての現在を併せ持つ、興味深い都市です。

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