ポイントギヴン

ポイントギヴン - ビッグレッドトレインの生涯

1998年生まれのアメリカンサラブレッド、ポイントギヴン。愛称は「ビッグレッドトレイン」。その名は、アメリカ競馬史に輝く数々の偉業によって刻み込まれることとなる。2001年、プリークネスステークスとベルモントステークスを制し、アメリカクラシック二冠を達成。圧倒的な強さで勝利を収めたベルモントステークスでは、2着馬に12馬身1/4差をつける圧勝劇を演じ、競馬ファンの記憶に深く刻まれた。

デビューは2000年。武豊騎手がアメリカ遠征中に騎乗したメイドンレースで2着となり、その才能の片鱗を覗かせた。その後は連勝を重ね、ハリウッドフューチュリティでG1初制覇。ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルでは惜しくも2着に終わったものの、その後の活躍を予感させる走りを見せた。

2001年、3歳シーズンはまさに絶頂期。サンタアニタダービー、サンフェリペステークスと圧勝し、ケンタッキーダービーでは優勝候補の筆頭として臨んだものの、ハイペースに巻き込まれ5着に敗れた。しかし、続くプリークネスステークス、ベルモントステークスと見事に勝利を収め、クラシック二冠馬の栄冠を手にした。さらに、ハスケルインビテーショナルハンデキャップ、トラヴァーズステークスとG1競走を4連勝し、その年のエクリプス賞年度代表馬、最優秀3歳牡馬に選出されるなど、その年の活躍は目覚ましいものがあった。

しかし、輝かしい活躍の裏には、惜しまれる引退劇も待ち受けていた。ブリーダーズカップでのイギリスダービー馬ガリレオとの対戦が期待された矢先、左前肢屈腱炎を発症。わずか5日後のことだった。惜しくもその夢は叶わぬまま、2001年秋に引退することとなった。

競走馬を引退したポイントギヴンは、種牡馬として新たな道を歩み始める。シンジケート総額5000万ドル（約60億円）、種付け料12万5000ドル（約1500万円）という破格の条件で、2002年からスリーチムニーズファームで種牡馬生活を送った。 ゴービトウィン、ポイントアシュレー、シーリーヒルなど、多くのステークスウィナーを輩出した。シーリーヒルはカナダ牝馬三冠を制し、2007年度カナダ年度代表馬にも選出されている。しかし、種牡馬としての成功は必ずしも順風満帆ではなかった。種付け料の高騰や、産駒の安定性の欠如などから、次第に市場での評価は下降していった。結果、2008年には種付け料を大幅に値下げするに至った。2017年に種牡馬を引退後は、ケンタッキーホースパークで余生を送り、2023年9月11日、同地でその生涯を閉じた。

ポイントギヴンの競走成績、そして種牡馬としての功績は、アメリカ競馬史に大きな足跡を残した。アメリカ競馬殿堂入りを果たしたことも、その偉業を物語っている。日本にも産駒が輸入されているものの、大きな活躍馬はまだ現れていない。ビッグレッドトレインの血を受け継ぐ新たなスターの出現に、多くのファンが期待を寄せている。

主な勝ち鞍

2000年（2歳）: ハリウッドフューチュリティ、シャンペンステークス2着、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル2着
2001年（3歳）: サンタアニタダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークス、ハスケルインビテーショナルハンデキャップ、トラヴァーズステークス

主な産駒

ゴービトウィン（パシフィッククラシックステークス）
ポイントアシュレー（デルマーデビュータントステークス）
シーリーヒル（カナダ牝馬3冠、2007年カナダ年度代表馬）
コイル（ハスケルインビテーショナルハンデキャップ、サンタアニタスプリントチャンピオンシップ）

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