ポポー

ポポー（pawpaw）

ポポー（学名: Asimina triloba）は、バンレイシ科に属する樹木で、その果実も広く知られています。日本での呼称には「ポーポー」、「パポー」などがあり、果実の外観はアケビに似ており、味や質感はカキノキに類似していることから、アケビガキとも呼ばれています。「pawpaw」という英名は、ポポー属全般を指すこともあれば、全く異なる植物であるパパイアを指すこともあります。ポポーの学名の一部である「triloba」は、3つの萼片を持つことから名付けられました。

特徴

ポポーは落葉性の低木から高木に分類され、その樹高は通常1.5メートルから14メートルに達します。幹は直径30センチメートルまで成長し、日照条件によって樹形が異なります。日当たりの良い場所では、枝が密集し細い円錐形に成長しますが、日陰では横に広がる傾向があります。樹皮は薄くて平滑で、暗褐色から灰色の斑点が見られることもあります。また、ポポーは根が地表近くを横に広がるため、群生することがあります。

葉は互生しており、楕円形から倒卵状で、基部はくさび形です。葉の長さは15〜30センチメートル、幅は約10センチメートルあります。葉を揉むと特有の香りがしますが、これは他の多くの植物には見られない特徴です。花は2月から5月にかけて咲き（地域によって異なる）、暗紫色の釣鐘状で、悪臭を放つことから特に認識されています。直径は2〜5センチメートルで、花柄には褐色の毛が密生しています。

果実は7月から10月に成熟し、1つの花から通常2〜3つの果実が育ちます。果実の外見は熟すと黄緑色になり、果肉は柔らかく芳香があります。そのため、「森のカスタードクリーム」という愛称で親しまれています。果実は完熟すると自然に落ち、種子は黒褐色で数十個が2列に並んでいます。

分布・生態

ポポーは北米東部に自生し、五大湖周辺からフロリダ州、テキサス州にかけて広がっています。この植物は中性からやや酸性の肥沃な土壌を好み、落葉広葉樹林の低木層で生育することが多いです。また、ポポーは雌性先熟で、自家不和合性が高いため、複数の木が近くにないと結実が難しいです。受粉は主に腐食性のハエや甲虫によって行われます。

人間との関わり

ポポーの熟した果実は甘くて芳香がありますが、一方で特有の強い匂いもあり、好む人とそうでない人に分かれます。生食されるだけでなく、アイスクリームやパイの素材としても利用されています。また、栄養素としてはビタミンA、C、マグネシウム、鉄分が豊富です。

ポポーの種子には催吐成分として知られるアルカロイドのアシミニンが含まれており、葉や樹皮は薬用としても使われることがあります。さらに、ポポーの樹皮はロープや色素の源としても利用されてきました。

栽培

20世紀初頭から栽培が進み、多様な品種が生まれています。ポポーは温暖な気候を好み、水はけの良い土壌で栽培されます。耐病性があり、無農薬でも育てやすい植物です。種子から結実するまでには5〜6年かかりますが、発芽には低温処理が必要です。日本では青森から九州まで育てられ、特に愛媛県や茨城県で知られています。ポポーの果実は日持ちがあまり良くないため、主に地産地消型の果物として親しまれています。

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