ポルシェ・904

ポルシェ・904の概要

ポルシェ・904、正式にはポルシェ・カレラGTS（Porsche Carrera GTS）は、ポルシェが手掛けた高性能レーシングカーです。1964年春に初めてレースに出場し、国際自動車連盟（FIA）が定めるGT2クラスに対応して開発されました。ホモロゲーションを取得するためには100台以上の生産が必要で、904はその条件をクリアし、市販モデルも存在します。

開発背景

ポルシェのレーシング活動がF1からスポーツカーにシフトする過程で生まれた904は、純粋なレース仕様ではなく、一般のドライバーが使いやすい設計がされていました。そのため、「アマチュアレーサーがサーキットや公道ラリーに自走して使えるスポーツカー」として重宝され、様々なレースシーンで活躍しました。1963年末に発表され、半年以内に110台が作られ、その後4気筒エンジンの量産型に加えて、6気筒バージョンや8気筒バージョンも製造されました。

エンジンの特徴

904は当初、911に搭載される予定だった水平対向6気筒エンジンを搭載する計画でしたが、実績と信頼性を考慮し、356モデルで使われていた587/2型4気筒エンジンを改良して搭載しました。排気量は1,966ccであり、最高出力は180PSを誇ります。最高速度はおおよそ260km/hに達し、消音器付きのロードバージョンも選べました。904のギア比は用途に応じて4つの設定がありました。特にル・マン仕様では263km/hをマークした実績があります。

シャーシとボディデザイン

904はチューブラーフレームではなく、コスト効率を考慮し箱型断面の鋼板プレス製ラダーフレームを採用しました。シートは動かない仕様でしたが、ステアリングコラムは可動式で、ペダルは3段階に調整可能という工夫がされています。エクステリアデザインはフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェが担当し、航空機メーカーであるハインケルがボディ製作を行いました。軽量かつ空気抵抗を低減するデザインが採用され、車両重量は650kg、Cd値は0.34と優れた数値を誇ります。

レース戦績

1974年、904はセブリング12時間レースでクラス優勝を果たし、その後のタルガ・フローリオでも総合優勝を達成しました。また、ル・マン24時間レースでもクラス優勝、ニュルブルクリンク1000kmではクラス優勝を収め、国際マニュファクチャラーズ選手権GT2クラスでもチャンピオンに輝くなど、その名声は高まりました。日本でも241回日本グランプリに参加し、数々の戦歴を積み重ねました。

結論

ポルシェ・904は単なるレーシングカー以上の存在であり、技術革新と多用途な性能を兼ね備えた傑作として、自動車の歴史において特別な位置を占めています。その魅力は今も色あせることなく、多くの自動車ファンに愛されています。

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