ポルシェ・908

ポルシェ・908について

ポルシェ・908は1968年に登場したスポーツカーで、国際自動車連盟（FIA）のスポーツカー世界選手権のレギュレーション変更に応じて開発されました。このモデルはポルシェがこれまで不利な状況にあった大排気量の競合車両に対抗するための投資として開発されたもので、ポルシェのレーシングカーの中でも特に重要な位置を占めています。

開発の背景

1968年のFIAのレギュレーション改正により、排気量3リットル以下のグループ6「スポーツプロトタイプ」と、5リットルまでのグループ4「スポーツ」が導入されました。これにより、ポルシェはフォードやフェラーリといった大排気量車に対抗するチャンスを得たのです。ポルシェの技術部門を率いていたフェルディナント・ピエヒは新たに2,997ccの水平対向8気筒エンジンを開発し、前モデル907の車体を基に908を製作しました。908は1968年にクーペモデルとして登場し、翌1969年にはスパイダーボディに改良され、ポルシェにとってメイクスチャンピオンを初めてもたらす原動力となりました。

バリエーションと技術

ポルシェ・908は複数のバリエーションが存在し、特に908/2、908/3などがレースで成功を収めました。908の基本エンジンは強制空冷形式の2バルブDOHC水平対向8気筒で、出力は350hpに達しました。このエンジン設計は以前のモデルと異なり、908モデル独自のものとして進化しています。908自体は907のフレームを基本にしており、素材が鋼管からアルミニウム合金に変更されたことにより軽量化が図られました。

また、908には可変フラップが装備されており、これによって空力的特性が改善されました。908LHと呼ばれるロングテールバージョンは特に高速コースに対応したもので、サーキットでのパフォーマンスを最大限に引き出しました。

レース戦績

908はデビューシーズンの1968年に多くのレースで活躍しました。特にニュルブルクリンク1000kmでの勝利は印象深く、ル・マン24時間レースでは予選で1位から3位を占めるものの大会本戦では並々ならぬ挑戦が待ち受けていました。1969年には、908/2や908LHを使用し、セブリング12時間レースやニュルブルクリンク1000kmなどのレースで優勝を積み重ね、ポルシェはメイクスチャンピオンを獲得しました。特にル・マンでは908LHの背後にフォード・GT40との白熱したバトルが繰り広げられました。

その後の数年間も908は優れたパフォーマンスを維持し、タルガ・フローリオやニュルブルクリンクでの活躍が続きました。1970年代には908の優れた性能を活かしつつ、他のエンジンへの改良や進化が図られました。

結論

ポルシェ・908は、ポルシェにおけるプロトタイプレーシングカーの重要なモデルです。各種レギュレーション適応、性能向上のための工夫、そして数々の成功が908を強力な競技マシンへと導きました。このモデルはポルシェのレーシング技術の進化の証とも言える存在であり、現在でも多くの自動車ファンに愛されています。

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