ポルックス (恒星)

ポルックス（Pollux）

ポルックスは、ふたご座β星として知られ、全天で最も明るい恒星の一つです。この星は、冬の星座である冬のダイヤモンドを形成する恒星の一部となっています。ポルックスは、その特異な特徴から、多くの天文ファンや研究者に注目されています。

概要

ポルックスは、わずかに橙色がかかった黄の巨星です。この星はふたご座のα星であるカストルとペアになり、星座内で兄弟を象徴する形となっています。星の命名においては、バイエル符号に基づくシステムが使用され、明るさに応じてα、β等と命名されていますが、ふたご座においてはカストルとポルックスの両方が同じ1等級となっています。そのためカストルがα星、ポルックスがβ星として位置づけられています。

ポルックスはそのサイズで特に印象的で、太陽の約8倍の半径を持ち、光度は37倍にもなります。質量は約2倍弱であり、巨星の中では比較的小さな光度を持つ恒星として知られています。観測データによれば、2002年から2010年の間には明確な変化は見られず、恒星の有効温度も安定して保たれています。これにより、ポルックスは非常に静穏で安定した天体であると評価されています。

名称の由来

ポルックスという名前は、ギリシャ神話に登場する双子の英雄ポリュデウケースに由来しています。彼の父はゼウスで、母はレーダーです。ポルックスには、トロイ戦争で知られるヘレネーやクリュタイムネーストラーという姉妹がいます。2016年には、国際天文学連合によってポルックスがふたご座β星の固有名として正式に認められました。この星の名は、古くからの伝説や神話と深く結びついています。

日本では、岐阜県揖斐郡の地域では、ポルックスを「きんぼし」、カストルを「ぎんぼし」と呼ぶ昔の記録も残っています。色合いからの名称であることがわかります。

惑星系

2006年には、ポルックスの周囲に木星の1.5倍の質量を持つ惑星が発見されました。この惑星はポルックスb（別名HD 62509 b）と名付けられ、後に国際天文学連合による公募で「Thestias」という名前が与えられました。これは、ポルックスの神話的な背景にちなんで名付けられたものです。

ポルックスは、単なる星ではなく、その背後にある神話や人間の文化を語る存在でもあります。その独自の特徴や背景から、天文学においても特別な位置を占めていることが理解できます。ポルックスは、星座の中で重要な役割を果たしており、冬の夜空に輝く美しい存在として、多くの人々に愛されています。

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