ポルトガルのオトラント遠征

1481年 ポルトガルのオトラント遠征：幻のトルコ十字軍

1481年、ポルトガルは、オスマン帝国によって占領されたイタリアのオトラント奪還を目指し、援軍を派遣しました。これは、ポルトガル語で「トルコ十字軍（Cruzada Turca）」と呼ばれる出来事です。しかし、ポルトガルの艦隊が到着した時には、既にオトラントの戦いは終結しており、彼らは実際の戦闘には参加できませんでした。

十字軍の背景

1481年4月8日、教皇シクストゥス4世は教皇勅書「Cogimur iubente altissimo」を発布し、南イタリアのオトラントに侵攻したオスマン帝国に対する十字軍を呼びかけました。教皇の目的は、オトラントを奪還した後、十字軍がアドリア海を渡り、アルバニアの港町であるヴァローナ（現在のヴロラ）も解放することにありました。

ポルトガルは、エヴォラ司教ガルシア・デ・メネセスが指揮する艦隊をオトラントへ派遣することを決定しました。教皇シクストゥス4世は、オトラントへ出征していた枢機卿パオロ・ディ・コンフレゴソに宛てた1481年8月27日付の書簡で、次のように述べています。

「聖パウロの日（6月29日）に、ポルトガルからは20隻のキャラベル船と輸送船が、エヴォラの司教、尊敬すべき兄弟ガルシアの指揮で出発しました。」

さらに、9月7日にはナポリ王フェルディナンド1世に宛てて、以下のような手紙を送っています。

「我々はポルトガルから艦隊を呼び寄せ、オトラントに送りました……我々はそれがオトラント攻撃の大きな助けとなることを願っています。」

間に合わなかった援軍

しかし、9月14日、オトラントのオスマン帝国軍が9月10日に降伏した後、教皇はブラッチャーノで副秘書長に宛てて手紙を書いていました。副秘書長はポルトガル艦隊の到着が遅れていることを報告しており、教皇はガルシアに対して不信感を抱いていました。

翌9月15日、教皇はガルシアに手紙を送り、彼の不断の努力と用心深さを称賛した上で、艦隊をヴロラに連れて行き、オスマン軍の基地を攻撃することで、「キリストへの信仰とあなたの名誉、それにあなたの王にふさわしい何か」を成し遂げるように促しました。この時言及された王とは、8月28日に亡くなったポルトガル王アフォンソ5世のことです。教皇はまた、モレアス専制公領の元君主アンドレアス・パレオロゴスが国の奪還を始められるようにギリシャへ連れて行くこともガルシアに要請しました。

オスマン帝国の撤退

ポルトガル艦隊がナポリに到着するまでに、オスマン帝国は既に撤退していました。これは、5月3日にオスマン帝国のスルタン、メフメト2世が遠征中に死去し、後継者争いが勃発したことが原因でした。そのため、ポルトガルの援軍は、結果的に戦闘に参加することなく終わりました。

この出来事は、ポルトガルがヨーロッパの政治情勢に積極的に関与しようとした姿勢を示すものとして、歴史に記録されています。

関連項目

オスマン・ポルトガル戦争

参考文献

Dias Vicente, João (1974). “Participação portuguesa na recuperação de Otranto (1481)”. Itinerarium 20 (83): 26–54.

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