ポロヌプリ岳

ポロヌプリ岳（ポロヌプリだけ）は、北海道紋別郡に位置する山であり、興部町と西興部村の境界をなしている。標高は835.4メートルを測り、北見山地の北部に連なる山並みの一角を占める。山頂には二等三角点「班渓山」が設置されており、周囲の地形を測量する上での重要な基準点となっている。

地理的特徴

ポロヌプリ岳が属する北見山地北部において、その地理的な位置は独特である。この山は、毛鐘尻山と天北峠の間に存在する標高808メートルの無名峰から南東方向へ派生する支稜線上に位置している。この稜線は標高870メートルのピークを経てポロヌプリ岳へと続いており、複雑な地形を形成している。さらに、ポロヌプリ岳の南西側には、特徴的な姿をした拳骨山がそびえ、この山域におけるランドマークの一つとなっている。ポロヌプリ岳は、これらの周辺の山々や尾根筋と密接に関連しながら、北見山地の景観の一部を構成している。

名称の由来

山の名称である「ポロヌプリ」は、アイヌ語にその語源を持つとされている。「ポロ」は「大きい」、「ヌプリ」は「山」を意味するため、合わせて「大きい山」という意味合いを持つと考えられる。周辺の地形と比較して、相対的に大きな山であったことからこの名が付いたのかもしれない。北海道にはアイヌ語由来の山名が多く、似たような名称を持つ山も存在する。たとえば、枝幸町（旧歌登町）と中頓別町の境界にも「ポロヌプリ山」という同名の山が存在する。このように、同じ語彙が異なる地域の山に用いられている事例は珍しくない。

登山について

ポロヌプリ岳には、一般的に利用されるような整備された登山道が存在しない。このため、通常の登山シーズンに容易に山頂を目指すことは難しいのが現状である。登山を試みる場合、多くの登山者は残雪期を選ぶことが一般的となっている。残雪期は、雪がある程度締まっており、夏場の藪（やぶ）が雪の下に隠れるため、比較的歩きやすく、ルート取りが容易になるという利点がある。

具体的なアプローチルートとしては、興部川の支流である本間の沢川沿いに進む方法がある。川沿いの道を進み、石灰鉱山の近くまで到達した後、そこから徒歩に切り替えて林道に入る。林道をしばらく進んだ後、ポロヌプリ岳へと続く尾根筋との鞍部にあたる場所で林道を離れ、尾根に取り付いて山頂を目指すことになる。このルートは整備された道ではないため、地形図の読解能力やGPSを用いたナビゲーション技術が必須となる。また、沢沿い、林道、尾根と地形が変化するため、それぞれの環境に応じた装備や技術が求められる。特に残雪期の登山では、雪崩のリスクや天候の急変にも十分な注意が必要となる。

ポロヌプリ岳は、容易にアクセスできないことから、訪れる登山者の数は多くはない。しかし、その分、手つかずの自然が残されており、静寂な山歩きを求める登山者にとっては魅力的な山と言えるだろう。山頂からは、北見山地の広大な山並みを望むことができると考えられる。山頂に設置された二等三角点「班渓山」は、この山が持つ地理的な重要性を示すとともに、苦労して登頂した者にとっての達成感の象徴となるだろう。ポロヌプリ岳は、北海道の自然の中に静かにそびえる、知る人ぞ知る山の一つである。

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