ポートランド州立大学

ポートランド州立大学：都市に根ざす総合大学

ポートランド州立大学（Portland State University, PSU）は、アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドに位置する州立大学です。第二次世界大戦後、退役軍人のための職業訓練校として設立された歴史を持ち、1969年に大学に昇格しました。オレゴン州の州立大学の中で唯一、大都市にキャンパスを構えるという特徴があります。

戦後復興と発展：不滅の大学

1946年、ヴァンポート・エクステンション・センターとして創立されたPSUは、当初は退役軍人の教育ニーズに応えることを目的としていました。1948年のヴァンポート洪水という大きな災害に見舞われましたが、閉校することなく活動を継続したことから、「不滅の大学」として知られるようになりました。その後、ポートランド市街地に移転し、1955年にはポートランド州立大学と改称、4年制大学としての地位を確立しました。

州法によるプログラム制限下においても、着実に発展を遂げ、1961年には大学院課程、1968年には博士課程を開設しました。1969年には、オレゴン州高等教育委員会の認定を受け、現在の名称であるポートランド州立大学となりました。

独自の教育プログラムと社会貢献

1994年には、従来の学部課程に代わり、「University Studies」と呼ばれる新しい学際的な一般教育プログラムを導入しました。このプログラムは、学内外で活発な議論を巻き起こしましたが、PSUを特徴づける要素となっています。U.S.News & World Report誌もこのプログラムを高く評価しています。

その後も、黒人研究やアメリカ先住民研究の学位プログラムを導入するなど、多様な人材育成に力を入れてきました。2004年には、情報工学部に多額の寄付を受け、Maseeh情報工学部と改称。同年、オレゴン健康科学大学と共同で、米国初となるバイオメディカルインフォマティクスのプログラムも開始しました。

大学とオレゴン健康科学大学の合併案が検討されたこともありましたが、最終的には実現しませんでした。しかし、マイクロソフトCEOスティーブ・バルマー氏らの支援を受け、環境に配慮した設計の新しい工学・科学技術センターが建設されるなど、研究設備の充実も進んでいます。

高い評価と充実した教育環境

Princeton Review誌は、PSUを「Best in the West」の一つとして評価し、「良心の大学」とも称賛しています。伝統的な教養教育と現代的な研究教育を両立させ、数学、生物学、化学、情報工学など、多くの分野で博士課程が設置されています。

PSUの経営学部は、社会問題や環境問題を経営学に統合した革新的なMBAプログラムで知られており、Aspen Institute Center for Business Educationのランキングでも高い評価を得ています。また、社会科学分野における研究実績も高く評価されており、世界的なランキングにも名を連ねています。

今日、ポートランド州立大学は、質の高い教育と研究、そして地域社会への貢献を通して、オレゴン州、ひいてはアメリカ社会の発展に貢献する重要な役割を担う総合大学として成長を続けています。

もう一度検索