ポール・バラス

ポール・フランソワ・ジャン・ニコラ・バラス子爵の生涯

ポール・フランソワ・ジャン・ニコラ（通称ポール・バラス）は1755年にフランスのプロヴァンス地方で生まれました。彼は没落した名門の家系に生まれ、16歳で軍に入隊しました。入隊後、ラングドック連隊の士官としてインドのポンディシェリに派遣され、1778年にはポンディシェリの防衛戦に参加しましたが、イギリス軍に捕虜となりました。その後無事に帰国しましたが、この経験から彼の政治的キャリアが始まることになります。

1789年のフランス革命が勃発すると、バラスはジャコバン派に加入し、1792年には国民公会の議員となりました。彼はルイ16世の処刑に賛成の票を投じ、その後の政争においては、ダントン派のネットワークを利用していくつかの重要な任務を果たしました。特に、西南フランスにおける反乱を鎮圧するためにナポレオン・ボナパルトを副官に指名し、成功を収めたことが後の彼の影響力を高めました。

バラスはテルミドールのクーデターを主導し、ロベスピエール派の指導者たちを一掃しました。この事件により、彼はフランスの政治舞台で重要な役割を果たすようになり、総裁政府の一員となります。バラスはその後、権力を掌握し、贅沢な生活を送ることになります。彼の政権は一定の財政的安定をもたらしましたが、内部の腐敗や不満が広がる中、彼自身は「悪徳の士」と呼ばれるような存在となってしまいました。

1799年、バラスはブルボン家との交渉を行い、王政復活を画策しましたが、自らの影響力が急速に衰えていくことに気づきます。ナポレオンのブリュメールのクーデターにより、彼は辞任を余儀なくされ、その後はモンペリエでの隠遁生活を送ります。しかし、ナポレオンに対する悪口や非難を続けたことが原因で、国外追放を命じられることになります。

その後、バラスはブリュッセルやローマを転々とし、1810年にはパリへの帰国を果たします。彼は監視下に置かれた生活を強いられながらも、贅沢な余生を過ごしました。晩年にはそれまでの豊かな生活と引き換えに、彼自身の過去の行いについても厳しい目が向けられることとなります。

最終的に彼は1829年にパリ近郊で亡くなり、ペール・ラシェーズ墓地に埋葬されました。バラスの生涯は、フランス革命という tumultuous な時代の中での彼の役割と、彼の道徳的腐敗の象徴を表しています。彼は歴史の中で強烈な影響を持ったが、一方で多くの批判を受ける存在でもありました。

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