マアルフ・アミン

マアルフ・アミン：インドネシアの知恵袋、副大統領としての軌跡

マアルフ・アミン（Ma'ruf Amin）は、1943年3月11日に誕生したインドネシアを代表する政治家、聖職者、そして教育者です。彼は、同国の第13代副大統領という要職を務め、インドネシア・ウラマー評議会の議長、さらにはナフダトゥル・ウラマーの最高指導者という重責も担ってきました。その深い知識と経験から、彼はしばしば「マルフ・アミン」とも呼ばれています。

生い立ちと教育

第二次世界大戦下の日本占領時代、タンゲラン県で産声を上げたマアルフ・アミン。幼少期はクレセックの小学校で学び、その後、東ジャワ州のジョンバンへ。そこで彼は、ナフダトゥル・ウラマーの創設者であるハシム・アシャリが設立した名門イスラム寄宿学校、プサントレン・テブイレンで学びを深めました。さらに、西ジャワ州ボゴールのイブン・ハルドゥーン大学に進学し、イスラム哲学の学士号を取得しています。

政界への足跡

大学卒業後、マアルフはジャカルタでイスラム教の教えを広める活動に尽力。当時、ナフダトゥル・ウラマーは活発な政党であり、彼は1971年の国政選挙で人民代表会議の議員に選出され、政界でのキャリアをスタートさせました。1977年には、開発統一党の一員としてジャカルタ市議会議員に当選し、開発統一党議員連盟のリーダーとして手腕を発揮しました。

学問と社会活動への回帰

市議会議員の任期を終えたマアルフは、再び学問と社会活動に身を投じます。1989年には、ナフダトゥル・ウラマーの最高意思決定機関である最高統治評議会の幹部、カティブ・アームに任命され、アブドゥルラフマン・ワヒド執行部を監督するリーダーの一人として活躍しました。1998年のスハルト政権崩壊後、ワヒドが設立した民族覚醒党の顧問に就任し、1999年から2001年までワヒドが大統領を務めた際には、彼に助言を与えました。その後も政界に復帰し、1999年から2004年まで民族覚醒党の代表として国民議会の全国代表を務めました。

ウラマー評議会での活動

国民議会での2期目には、第4委員会の委員長、第2委員会および予算委員会の委員を歴任。1999年から2004年まで国民議会議員を務める傍ら、ファトワー（イスラム法的見解）の発行を担当するウラマー評議会の委員会委員長も務めました。2004年に国民議会の再選を目指さず、インドネシア・ウラマー評議会に戻り、国家シャリーア委員会の委員長としてイスラム金融の発展に貢献しました。

大統領諮問委員とナフダトゥル・ウラマーの指導者

2007年から2014年まで、マアルフはスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領の大統領諮問委員会の顧問を務め、大統領に様々な提言を行いました。2015年には、ナフダトゥル・ウラマーの最高指導者であるライス・アーム・シュリアに立候補。レンバン県のペサントレン・ラウドラトゥス・タリビンの現職ムストファ・ビスリに次いで2位となりましたが、ビスリが選挙戦から辞退したため、マアルフがナフダトゥル・ウラマー第33回大会でその地位に選出されました。その数週間後には、インドネシア・ウラマー評議会議長に選ばれ、ムハマディヤのディン・シャムスディンの後を引き継ぎました。

副大統領への道

2019年のインドネシア大統領選挙で再選を目指したジョコ・ウィドド大統領は、副大統領候補としてマアルフを指名しました。当初は元国防相のモハマッド・マフッドが有力視されていましたが、ジョコウィの連立政権を構成する政党やイスラム指導者からの支持を得て、マアルフが選ばれたのです。ジョコウィは、マアルフの政府および宗教問題における豊富な経験を高く評価しました。

2019年5月21日、総選挙管理委員会はジョコウィとマアルフが55.5％の得票率を獲得し勝利を宣言。同年10月20日、マアルフ・アミンはインドネシア共和国の第13代副大統領に就任しました。76歳での就任は、インドネシア史上最高齢の副大統領就任記録となりました。

マアルフ・アミンは、長年の経験と知識を活かし、ジョコ・ウィドド大統領を支えながら、インドネシアの発展のために尽力しています。

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