ボゴール

ボゴール：インドネシアの雨の都の歴史と魅力

ボゴールは、インドネシア西ジャワ州に位置する活気のある都市です。首都ジャカルタから南へ約60km、ボゴール県に囲まれたこの都市は、2021年時点で約118万人の人口を誇り、ジャカルタ都市圏の一部を形成しています。

歴史の重み：古代から現代まで

ボゴールの歴史は古く、5世紀のタルマヌガラ王国時代まで遡ります。シュリーヴィジャヤ王国との争いを経てスンダ王国へと移り変わり、669年にはチリウン川とチサダネ川の間、「パクアン・パジャジャラン」という都市が建設されました。これは中世インドネシア最大の都市の一つに発展し、4万8千人もの人口を擁しました。この時代の歴史は、サンスクリットで書かれたプラサスティ（石碑銘文）によって知られており、ボゴール周辺で見つかったプラサスティは、独特の様式で知られています。

1579年、バンテン王国による侵略でパクアンは破壊され、スンダ王国は滅亡しました。その後、しばらくの間廃墟と化したこの地は、17世紀後半、オランダ東インド会社（VOC）の影響下に入ります。1687年、VOCに雇われたスンダ人タヌウィジャヤ中尉がキャンプを設け、開発が始まりました。1699年の火山噴火による被害を乗り越え、農業地開発が進み、1701年には行政地区が設立されました。

1746年、総督の命令により、オランダ人居住区と現地人居住区が統一され、「バイテンゾルフ」という宮殿が建設されました。「憂いの外」を意味するこの名前は、オランダ語で「Buitenzorg」と表記され、ほぼ同時期に「ボゴール」という名前も記録に登場します。「ボゴール」はサトウヤシを指すジャワ語に由来するとの説があります。

1811年から1815年のイギリスによる占領期間中、行政の中心はバタヴィアからバイテンゾルフに移され、近代的な行政システムが導入されました。オランダ王国支配下では、植物園が設置され、農業学校、図書館、博物館なども設立されました。1873年には鉄道が開通、西欧化が進み、インドネシア屈指の発展都市となりました。1904年にはオランダ領東インドの行政中心となりましたが、実際の行政はバタヴィアに残っていました。

第二次世界大戦中は日本の支配下となり、「ボゴール」という名前が正式に使用されるようになりました。1945年のインドネシア独立宣言後も、オランダによる支配回復を経て、1950年に正式にインドネシアの一部となりました。

独立後の発展：文化と科学の中心地

独立後、ボゴールはインドネシアの文化、科学、経済発展において重要な役割を担っています。植民地時代の総督の夏の宮殿はインドネシア大統領の夏の宮殿となり、国際的な会議も開催されるようになりました。しかし、近年は新しい教会建設をめぐる宗教対立なども発生しています。

交通と教育

ボゴールはジャカルタとの間をKRLコミューターラインが結び、またバンドン方面への鉄道も運行しています。高速バスも運行していますが、交通渋滞が問題となっています。ボゴール農科大学（IPB）など、数々の教育機関も存在します。

国際交流

ボゴールは、中国の深圳市、アメリカのセントルイス、ハンガリーのゲデレーなど、世界各国と姉妹都市協定を締結しており、国際的な交流も盛んです。

ボゴールは、歴史と現代が融合した魅力あふれる都市です。その豊かな歴史、美しい自然、そして活気ある文化に触れることで、インドネシアの奥深さを知ることができるでしょう。

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