マア・ノヌー

マア・ノヌー（Ma'a Allan Nonu）

マア・ノヌーは、1982年5月21日生まれ、ニュージーランド出身のプロラグビーユニオン選手です。主にセンターとしてプレーし、その圧倒的なフィジカルと破壊力のあるランで知られています。現在、フランスのトッププロリーグであるフランス選手権トップ14のRCトゥーロンに所属しています。

キャリアの始まり

ノヌーは、ウェリントンにあるロンゴタイ・カレッジを卒業しました。カレッジ在学中からその才能は抜きん出ており、1999年と2000年にはニュージーランドの中等学校代表に選出されています。その後、2001年にはウェリントン州代表の19歳以下チームのメンバーとなりました。

国内リーグとスーパーラグビーでの飛躍

2002年には、ニュージーランド国内州代表選手権（現在のITMカップ）に参加するウェリントン州代表チームに加入し、ホークス・ベイ戦でシニアレベルでのデビューを果たしました。翌2003年には、南半球のクラブ最強決定戦であるスーパーラグビーの前身、スーパー12に参加するハリケーンズに加わり、クルセイダーズとの対戦でスーパーラグビーデビューを飾りました。

ハリケーンズでは、持ち前のパワフルなプレーでチームの中心選手となり、2005年にはウェリントン州代表チームのキャプテンも務めています。この年のスーパー12ではシーズン通算7トライを記録し、特にブランビーズ戦では1試合で3トライのハットトリックを達成。州代表選手権でも7トライを挙げ、ノースランド戦でハットトリックを達成するなど、目覚ましい活躍を見せました。当時のオールブラックスヘッドコーチ、グラハム・ヘンリー氏からは、その活躍ぶりを称賛され「ヤング・タナ」と呼ばれたほどです。これは、その年に行われたテストマッチ全てに勝利したオールブラックスのキャプテン、タナ・ウマガ氏になぞらえた表現であり、ノヌーへの期待の高さを示すものでした。

スーパーラグビーでは、ハリケーンズで長らく活躍した後、ブルースやハイランダーズにも短期間所属しました。

オールブラックスでの栄光

スーパーラグビーでの活躍が認められ、ノヌーは2003年にラグビーニュージーランド代表、通称オールブラックスに初めて選出されました。同年6月14日に行われたイングランド代表戦でテストマッチデビューを果たし、その後のキャリアを切り開きました。

デビュー年である2003年には、オーストラリアで開催されたラグビーワールドカップ2003のニュージーランド代表スコッドに選出され、予選ラウンドの3試合に出場しています。また、2004年にはセブンズニュージーランド代表としても2試合に出場するなど、異なる形式のラグビーでもその才能を発揮しました。

2007年のラグビーワールドカップフランス大会のスコッドからは外れたものの、ジュニアオールブラックスに選ばれたことで、一時示唆していたラグビーリーグへの転向の話は立ち消えとなりました。

そして、ラグビー界におけるノヌーのハイライトの一つが訪れます。母国ニュージーランドで開催されたラグビーワールドカップ2011に主力選手として出場し、ニュージーランド代表の優勝に大きく貢献しました。さらに、4年後のイングランドで開催されたラグビーワールドカップ2015にも再び代表メンバーとして選出され、チームの中心選手として活躍。ニュージーランド代表史上初のワールドカップ連覇達成という偉業に大きく貢献しました。

海外での挑戦とキャリアの継続

ラグビーワールドカップ2011での優勝後、ノヌーはスーパーラグビーのブルースと2年契約を結び、並行して日本のトップリーグに所属するリコーブラックラムズへの加入も発表されました。2011-2012シーズンの日本でのプレーを経て、2012年をもってリコーブラックラムズを退団しました。

ラグビーワールドカップ2015終了後、ノヌーはフランスの最高峰プロリーグであるトップ14のRCトゥーロンへと活躍の場を移し、ヨーロッパでのキャリアをスタートさせました。RCトゥーロンでは数シーズンプレーし、チームに貢献しました。

その後、2019年に古巣ブルースに復帰するなど、短期間の移籍を繰り返しました。アメリカのメジャーリーグラグビー、サンディエゴ・リージョンとフランスのRCトゥーロンの間を行き来する形でプレーし、2025年には再びフランスのRCトゥーロンへと戻りました。

驚くべきは、そのキャリアの長さと質の高さです。2025年3月29日に行われたトップ14 2024-25シーズンのリーグ戦において、RCトゥーロンの一員としてカストル・オランピック戦の後半途中に交代出場。この時、ノヌーは42歳10か月8日という年齢であり、フランス選手権トップ14リーグにおける最年長出場記録を塗り替えるという歴史的な瞬間を迎えました。これは、2020年にカレーナ・ウィホンギ氏が樹立した40歳98日という記録を大幅に更新するものであり、彼の肉体的なコンディションとラグビーへの情熱が衰えていないことを見事に証明しました。

ワールドカップ連覇という輝かしい国際的な実績に加え、ニュージーランド国内、日本、フランス、アメリカといった様々なリーグでプレーし、晩年に入ってもなお最高レベルで活躍し、記録を更新し続けるマア・ノヌーは、ラグビー界における真のレジェンドの一人と言えるでしょう。彼のパワフルで正確なプレーは、多くのファンに愛されています。

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