マイク・ブレイベル

マイケル・ジョージ・ブレイベル（Michael George Vrabel, 1975年8月14日 - ）は、アメリカ合衆国オハイオ州アクロン出身のアメリカンフットボールの元選手であり、現在は指導者として活躍しています。2025年からは、かつて選手として在籍したニューイングランド・ペイトリオッツのヘッドコーチに就任することが決定しています。

現役時代は主にラインバッカー（LB）として、ピッツバーグ・スティーラーズ、ニューイングランド・ペイトリオッツ、カンザスシティ・チーフスでプレーしました。特にペイトリオッツ時代には、3度のスーパーボウル制覇（第36回、第38回、第39回）に大きく貢献しました。

引退後は指導者の道へ進み、2018年シーズンから2023年シーズンまでテネシー・タイタンズのヘッドコーチを務めました。

プロ入り前

オハイオ州アクロンで生まれ、カヤホガフォールズ近郊の高校を経てオハイオ州立大学に進学しました。1993年から1996年までディフェンシブエンドとしてプレーし、その才能を開花させました。2年次には12サック、3年次には13サック、4年次には9サックを記録し、3年次と4年次にはビッグ・テン・カンファレンスの最優秀守備選手に選出されるという快挙を達成しました。同カンファレンスで2度最優秀守備選手に選ばれたのは、ウェンデル・ブライアントと彼のみです。4年次にはオールアメリカンにも選ばれるなど、大学フットボール界でその名を轟かせました。

2000年には大学フットボールチームの20世紀オールチームに選出され、2012年にはオハイオ州立大学のスポーツ殿堂入りを果たしました。

NFLでの活躍

1997年のNFLドラフトで、ピッツバーグ・スティーラーズから3巡目指名を受けてプロ入りを果たしました。1年目のディビジョナルプレーオフでは、ドリュー・ブレッドソーをサックし、チームの勝利に貢献しました。スティーラーズには4シーズン在籍しました。

2001年、フリーエージェントとしてニューイングランド・ペイトリオッツに移籍しました。この年、先発12試合を含む全16試合に出場し、ビル・ベリチックヘッドコーチの指示により、タイトエンドをマークする役割を担いました。第38回スーパーボウルでは、2サック、1ファンブルフォースを記録する活躍を見せただけでなく、トム・ブレイディからの1ヤードのTDパスを受け、タッチダウンを挙げるというサプライズもありました。守備選手がオフェンスプレーでタッチダウンを記録したのは、第20回スーパーボウルのウィリアム・ペリー以来の出来事でした。さらに、第39回スーパーボウルでも2ヤードのTDパスを受け、通算成績では14回のパスターゲットのうち10回レシーブを記録し、その全てがタッチダウンプレーという驚異的な記録を残しました。

2005年12月26日のマンデーナイトフットボールでは、2タッチダウン、1サックを記録する活躍を見せました。

2007年の第8週のワシントン・レッドスキンズ戦では、3ファンブルフォース、3サック、オンサイドキックのリカバー、さらにはオフェンスでのタッチダウンを挙げるなど、目覚ましい活躍を見せ、AFCの週間最優秀守備選手に選ばれました。同年12月には、自身初となるプロボウルに選出され、翌1月にはオールプロにも選ばれました。

ペイトリオッツ加入当初の4年間は、3-4ディフェンスの右アウトサイドラインバッカーを務めていましたが、2005年に選手層の薄いインサイドラインバッカーにコンバートされました。テディ・ブルースキが怪我から復帰した後は、彼とコンビを組みました。その後、アウトサイドラインバッカーに復帰しましたが、2006年シーズン終盤にジュニア・セアウが腕を骨折したため、再びインサイドラインバッカーとしてプレーしました。

2009年2月末、マット・キャセルとともにドラフト2巡指名権とのトレードでカンザスシティ・チーフスに移籍しました。

指導者としてのキャリア

2011年7月10日に現役を引退し、母校オハイオ州立大学のラインバッカーコーチに就任しました。同年12月21日、アーバン・メイヤーが新ヘッドコーチに就任した際も、コーチとしてチームに留まりました。

2014年1月10日、NFLに復帰し、ヒューストン・テキサンズのラインバッカーコーチに就任しました。彼の指導により、テキサンズの守備は大きく躍進しました。2016年1月には、サンフランシスコ・49ersの守備コーディネーター候補として名前が挙がりましたが、彼はその話を断り、テキサンズに残留しました。2017年1月、ロメオ・クレネルがテキサンズのアシスタントヘッドコーチに昇格する際、後任として守備コーディネーターに昇格しました。

2018年1月20日、テネシー・タイタンズのヘッドコーチに就任しました。第2週のテキサンズ戦でプロ初勝利を挙げ、第4週には前年のスーパーボウルチャンピオンであるフィラデルフィア・イーグルスを破りました。第10週には、かつての恩師であるビル・ベリチック率いるニューイングランド・ペイトリオッツを破るという快挙を成し遂げました。彼の指導により、チームディフェンスは前年より13位も成績が向上し、NFL8位となりました。チームは9勝7敗の成績を収めましたが、惜しくもプレーオフ進出を逃しました。

2019年は、第6週のデンバー・ブロンコス戦で完封負けを喫した後、マーカス・マリオタからライアン・タネヒルに先発QBを変更しました。チームは開幕から6試合で2勝4敗と苦戦しましたが、最終的には9勝7敗でプレーオフに第6シードとして進出しました。ワイルドカードプレーオフでは、前年のスーパーボウルチャンピオンであるニューイングランド・ペイトリオッツを20-13で破りました。この試合では、デリック・ヘンリーが204ヤードを走る活躍を見せました。ディビジョナルプレーオフでも、ヘンリーの活躍などで第1シードのボルチモア・レイブンズを28-12で破りましたが、AFCチャンピオンシップゲームではカンザスシティ・チーフスに24-35で敗れ、スーパーボウル出場はなりませんでした。2021年シーズンには、AP通信からコーチ・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。

2022年は、ライアン・タネヒルが故障した後、チームは失速しプレーオフを逃しました。2023年も6勝11敗でプレーオフを逃し、2024年1月9日にタイタンズから解雇されました。

2024年は、クリーブランド・ブラウンズのコンサルタントを務めました。

2025年1月12日、古巣ニューイングランド・ペイトリオッツのヘッドコーチに就任することが発表されました。

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