マイケル・ド・ラ・ポール (初代サフォーク伯)

初代サフォーク伯マイケル・ド・ラ・ポール

初代サフォーク伯マイケル・ド・ラ・ポール（1330年頃 - 1389年）は、中世イングランドの貴族であり、政治家です。リチャード2世の側近として権勢を誇りましたが、その出自から貴族たちの反感を買い、最終的には失脚、亡命という悲劇的な結末を迎えました。

生涯

マイケル・ド・ラ・ポールは、キングストン・アポン・ハルで羊毛商人として成功したウィリアム・ド・ラ・ポールを父として生まれました。ド・ラ・ポール家が台頭するきっかけとなったのは、ウィリアムがエドワード3世に軍資金を融資したことでした。これにより、ド・ラ・ポール家は宮廷との繋がりを深め、マイケル自身もエドワード3世の長男であるエドワード黒太子に従って、百年戦争に参加しました。フランス各地を転戦したマイケルは、帰国後、黒太子の弟であるランカスター公ジョン・オブ・ゴーントとも親交を深めました。

1377年にリチャード2世が即位すると、マイケルは側近として重用されるようになります。リチャード2世はマイケルを厚遇し、1383年にはフランドル遠征に反対したマイケルを大法官に任命、1385年にはサフォーク伯の爵位を与えました。しかし、この異例の出世は、貴族たちの反感を買うことになります。彼らは、商人出身のド・ラ・ポール家が爵位を得ることを快く思わず、マイケルに対する嫉妬と反発を募らせました。マイケルが主張した和平案も、リチャード2世は賛成したものの、他の貴族たちの反対に遭い、彼は窮地に立たされました。

1386年の議会では、貴族たちの要求により大法官を解任された上、弾劾裁判にかけられ、財産没収と投獄処分を受けました。リチャード2世はすぐにマイケルを赦免しましたが、これは貴族たちの国王に対する反発をさらに強める結果となりました。

1387年、リチャード2世の側近政治に反対する訴追派貴族たちは、マイケルとアイルランド公兼オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアーら、リチャード2世の側近集団を告発することを計画しました。身の危険を感じたマイケルは、フランスへ亡命します。翌1388年の非情議会において、マイケルは欠席のまま死刑判決を受け、爵位も没収されました。1389年、マイケルはイングランドへ帰国することなく、パリで亡くなりました。その後、息子のマイケル・ド・ラ・ポールがヘンリー4世から爵位を与えられ、ド・ラ・ポール家は名誉を回復しました。

子女

マイケルは、サー・ジョン・ウィングフィールドの娘キャサリンと結婚し、8人の子供をもうけました。

マイケル（1361年 - 1415年） - 第2代サフォーク伯
トマス（1363年 - 1415年）
ウィリアム（1365年 - ?）
リチャード（1367年頃 - 1402年）
ジョン（1369年頃 - 1415年）
アン（1373年頃 - ?） - ロバート・ソアリーと結婚
エリザベス（1377年頃 - ?）
マーガレット（1386年頃 - ?）

参考文献

青山吉信編『世界歴史大系 イギリス史1 -先史～中世-』山川出版社、1991年。
松村赳・富田虎男編『英米史辞典』研究社、2000年。
エドマンド・キング著、吉武憲司監訳『中世のイギリス』慶應義塾大学出版会、2006年。
トレヴァー・ロイル著、陶山昇平訳『薔薇戦争新史』彩流社、2014年。

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