マイケル・ポンティ

マイケル・ポンティ：知られざるロマン派音楽の探求者

マイケル・ポンティ（Michael Ponti, 1937年10月29日 - 2022年10月17日）は、ドイツ出身のアメリカ合衆国のピアニストです。その演奏は、ロマン派音楽における超絶技巧と情熱的な解釈で高く評価されています。

生涯

ポンティはアメリカ陸軍報道官の子として生まれ、幼少期をアメリカで過ごしました。ワシントンD.C.でレオポルド・ゴドフスキーの弟子であるギルマー・マクドナルドに師事した後、家族と共にドイツへ帰国。フランクフルト音楽・舞台芸術大学でエーリヒ・フリンシュに師事しました。ソリストとして活躍する傍ら、室内楽奏者としても活動し、1977年には自身のピアノ三重奏団を結成しました（1999年解散）。2000年に脳梗塞で右半身の自由を失ってからは、左手用の作品にも取り組みました。2022年10月17日、ガルミッシュ＝パルテンキルヒェンの自宅で逝去。

音楽性

ポンティは、才気あふれる解釈と超絶技巧によって、ロマン派音楽に最適なヴィルトゥオーゾとして知られていました。1980年代以降のライブ録音では、古典派音楽の繊細な解釈も披露しています。

録音活動

ポンティは米ヴォックス・レコーズに多数の録音を残しており、特に知られざるロマン派音楽の作品を網羅するという、当時としては先駆的な事業に大きく貢献しました。モシェレス、アルカン、タールベルク、シェレンドルフらの協奏曲を初録音した他、モシュコフスキのピアノ協奏曲ホ長調を最初に録音したピアニストとしても知られています。

これらの録音を通じて多くの音楽愛好家を魅了し、録音数は80点を超えます。日本では1980年代初頭にワーナーパイオニアから国内盤が発売され、同時期に来日公演も果たしました。これらの録音は現在、ブリリアント・クラシックスレーベルから廉価盤として再発されています。また、スクリャビンのピアノ曲全曲録音を最初に行ったピアニストでもあり、チャイコフスキーやラフマニノフのピアノ曲全集も制作しています。

1982年の来日時にはカメラータ東京でショパンなどを録音し、「これからは自分でお金を出してでも納得のいくレコードを作りたい」と語っていました。1990年代には仏DANTEレーベルからライブCDが発売され、ハイドンやベートーヴェンなどの古典派から、リスト、ショパン、シューマン、ブラームスなどのロマン派、ムソルグスキー、スクリャビン、ラフマニノフ、ストラヴィンスキーなどのロシア物、ラヴェルまで、幅広いレパートリーを聴くことができます。ウラディミール・ホロヴィッツが愛用していたピアノを弾いた録音もありました。

同時期には、ドイツのクラヴィンス・ピアノを使用したCDも数点制作しています。生前VoxBoxが絶版にした音源はdoronmusicが買い取って再発売していましたが、没後の2023年にはAppleが再配信しています。

受賞歴

1956年 - ブゾーニ国際ピアノコンクール第4位
1958年 - ブゾーニ国際ピアノコンクール第3位
1964年 - ブゾーニ国際ピアノコンクール優勝
1964年 - エリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門第6位

マイケル・ポンティは、その卓越した技術と音楽性で、忘れ去られようとしていたロマン派音楽の魅力を現代に蘇らせた功績は大きいと言えるでしょう。

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