フランクフルト音楽・舞台芸術大学

フランクフルト音楽・舞台芸術大学

フランクフルト音楽・舞台芸術大学（Hochschule für Musik und Darstellende Kunst Frankfurt am Main）は、ドイツのヘッセン州、フランクフルト・アム・マインに本部を置く国立の芸術大学です。英語では Frankfurt University of Music and Performing Arts と表記されます。

この大学のルーツは、1878年9月22日に遡ります。フランクフルトの市民であったヨーゼフ・ホッホ氏の遺贈を受けた資金をもとに、ホッホ音楽院が開設されたのが始まりです。開設当初、ホッホ音楽院は年齢に関係なく、子どもから大人まで誰もが音楽を学べる音楽学校として運営されていました。著名な音楽家が教鞭を執り、大いに発展を遂げましたが、1938年にはナチス政権によるいわゆる「グライヒシャルトゥング（均一化）」の波にのまれ、州立の大学として再編成されることとなります。

教職員や施設、楽器、楽譜といった資源は新たな州立大学へと引き継がれ、これが現在のフランクフルト音楽・舞台芸術大学へと発展しました。一方、ホッホ音楽院は大学から派生した形で独立した教育機関として存続し、現在も大学とは別に運営されています。子ども向けの早期音楽教育、大学進学を目指す予備教育、そして一般向けの音楽レッスンを提供する「音楽教室」と「大学」の中間のような存在として、その長い伝統と独自の役割を守り続けています。

現在の大学は、大きく分けて三つの学部に分かれています。

第1学部（FB1） - 専門教育 (Ausbildung)
演奏家（器楽、声楽）、指揮者、指導者の養成、教会音楽、古楽といったプロフェッショナルを目指すための専門的な教育が行われます。
第2学部（FB2） - 教職課程と作曲 (Lehramt und Komposition)
音楽教員を目指すための課程と、作曲および音楽理論に関する分野を扱います。
第3学部（FB3） - 舞台芸術 (Darstellende Kunst)
声楽、演出、演劇、クラシック・ダンス、コンテンポラリー・ダンスなど、舞台芸術全般にわたる専門的な教育・研究が行われます。

これらの学部以外にも、ピアノのための室内楽・リート伴奏コースや、コレペティートル（オペラなどで歌手を指導・伴奏する音楽家）養成コースなどが設けられています。また、学外の著名な教育機関との連携も特徴の一つです。例えば、国際的な弦楽器奏者のためのアカデミーであるクロンベルク・アカデミー、現代音楽の演奏で名高いアンサンブル・モデルン・アカデミー、そして舞台芸術分野ではヘッセン・テアーターアカデミーなどとの協力関係を通じて、学生に多様な実践と学習の機会を提供しています。

この大学および前身のホッホ音楽院からは、数多くの著名な音楽家や芸術家が生まれています。設立当初から大学設立までの関係者としては、ヨアヒム・ラフ、クララ・シューマン、エンゲルベルト・フンパーディンク、フーゴ・ベッカー、ハンス・プフィッツナー、パウル・ヒンデミット、ハンス・ロスバウト、オットー・クレンペラーといった歴史に名を刻む巨匠たちがいます。近年では、タベア・ツィンマーマン、クリストフ・プレガルディエン、ハルトムート・ヘル、クラウス・キューンル、ヘルムート・リリング、マリー＝ルイーズ・ノイネッカー、ミヒャエル・ザンデルリング、ハンス・ツェンダーなどが著名な関係者として挙げられます。

フランクフルト音楽・舞台芸術大学は、その長い歴史と伝統に培われた質の高い教育、そして多岐にわたる専門分野と学外連携を通じて、常に変化する芸術界をリードする人材の育成に貢献し続けています。

関連項目

Hochschule für Musik und Darstellende Kunst Frankfurt am Main
Dr. Hoch's Konservatorium

外部リンク

大学公式サイト
* ホッホ音楽院公式サイト

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