マイヤー・ヴェルフト

マイヤー・ヴェルフトの概要

マイヤー・ヴェルフト（Meyer Werft）は、ドイツのパーペンブルクに存在する著名な造船会社です。この企業は河川用クルーズ客船を手掛けるグループ、ネプトゥーン・ヴェルフトの傘下でもあり、マイヤー・ネプトゥーン（Meyer Neptun）という名前で知られています。日本語では「マイヤー造船所」とも表記されることがあります。

歴史

この造船所は1795年に木造船の造船業者として設立され、1872年には蒸気機関を持つ鉄製船の建造を開始しました。最初の客船であるトリートン（Triton）を1874年に進水させた後、19世紀を通じて400隻以上の船舶を製造しました。第一次世界大戦前には、長く航海を続けることとなる1909年建造のプリンツ・ハインリヒや1913年建造のゲッツェンといった著名な船舶が誕生しました。

戦後も、さまざまな船舶の建造を続け、1934年には2012年まで運用された検査船エムスを製造しました。さらに漁船や灯台船、沿岸用客船など、多様な分野にわたる船舶の生産を行ってきました。第二次世界大戦後には、貨客船、LPG船、RO-RO船、クルーズ客船などの事業を拡大させました。1975年にはエムス川沿岸からパーペンブルクの地に移転し、その後、1987年に世界最大の屋内造船ドックを建設。2001年には、さらに規模を拡大した第二の屋内造船ドックも完成しました。

1997年にはロストックにあるネプトゥーン・インドゥストリー・ロストックとのグループ化が進みましたが、2003年にはアメリカ同時多発テロ事件の影響でクルーズ客船の新規受注が減少したため、500人もの従業員が解雇される事態に直面しました。2014年にはフィンランド政府と協力し、STXヨーロッパからトゥルクの造船所を買収。マイヤー・トゥルク造船と社名が改められる予定です。

運営状況

マイヤー・ヴェルフトでは、クルーズ客船やLNG・LPGタンカー、フェリー、RO-RO船など、主に民間向けの大型船舶の建造を手がけています。企業の従業員数はおよそ3,100人であり、地域において重要な雇用源の一つです。業界で名高い屋内造船ドックは、1987年に建設されたものが全長370m、幅102m、高さ60mで、以降1991年に更なる拡張が行われました。2001年からは新たに建設されたドックがあり、これは全長504m、幅125m、高さ75mの規模を誇ります。加えて、敷地内には露天ドックも1基設置されています。

進水した船舶はエムス川を経て北海へ向かいますが、大型船の場合、エムス川の水深を最大2.7m上昇させなければ河口を越えられないことがあります。

観光施設

パーペンブルクの造船所は、「マイヤー造船所」としてヨーロッパの産業遺産に指定されており、観光客にとって人気のスポットです。ビジターセンターが設置されており、年間約30万人が訪れています。観光客は造船の過程やその技術について学び、貴重な経験を持ち帰っています。

建造船の概要

2013年1月時点で、マイヤー・ヴェルフトの受注済み船舶には、クルーズ客船40隻、RO-RO船を含むフェリー29隻、各種ガスタンカー56隻、家畜運搬船27隻が含まれます。これらの実績は、造船業界における同社の地位を確立する重要な要素となっています。

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