マウロントゥス

マウロントゥス (マウレンテ、マウロンティウス) について

マウロントゥス、またはマウレンテ、マウロンティウス（ラテン語: Maurontus, Maurontius）は、8世紀初頭、具体的には720年代から730年代にかけてプロヴァンス公（伯）として歴史に名を残した人物です。彼はプロヴァンスの独立を強く志向し、フランク王国の宮宰であったカール・マルテル、そしてその協力者であるアッボと激しい争いを繰り広げました。

生涯

偽フレデガリウス年代記において、マウロントゥスは「ドゥクス」として言及されています。彼はネウストリア宮宰ワラトーの親族であったと考えられています。メロヴィング朝のフランク王に忠誠を誓っていたマウロントゥスでしたが、宮宰として絶大な権勢を誇っていたピピン・カロリング家からの独立を画策しました。キルペリク2世がマルセイユに派遣していた代官の勢力を引き継ぎ、領地と教会に対する権力を掌握しました。当時の他のプロヴァンスのパトリキウスたちと同様に、彼の権力は世襲的なものではなく、あくまで個人に限定されたものでした。

そのため、マウロントゥスはカール・マルテルやその同盟者だけでなく、ブザンソンを拠点とし、アルプス山脈の峠道を支配していたウァルダレヌス系の地元貴族とも戦わざるを得ませんでした。

736年以前には、アヴィニョンを防衛するため、ナルボンヌを支配していたサラセン人ユースフ・イブン・アブド・アッラフマーン・アッ＝フィーリに援助を求めました。しかし、736年、カール・マルテルとキルデブラント1世の兄弟がローヌ川渓谷に侵攻し、プロヴァンスを荒らし回りました。彼らはアルルやアヴィニョンを占領し、マウロントゥスをマルセイユへと追い詰めました。最終的に、マウロントゥスはキルデブラント1世とランゴバルド人の連合軍に決定的な敗北を喫し、アルプス山脈へと逃亡しました。

子孫

マウロントゥスの血を引く子孫の中には、マルセイユ司教マウロントゥスが存在します。

参考文献

Lewis, Archibald R. "The Dukes in the Regnum Francorum, A.D. 550-751." Speculum, Vol. 51, No 3 (July 1976), pp 381–410.
Lewis, Archibald R. The Development of Southern French and Catalan Society, 718–1050. University of Texas Press: Austin, 1965.
Geary, Patrick J. Before France and Germany. Oxford University Press: 1988.
Hodgkin, Thomas. Italy and her Invaders Vol. VIII. Clarendon Press: 1895.

もう一度検索