マウントジョン天文台

マウントジョン天文台（Mount John University Observatory, MJUO）は、ニュージーランド南島のマッケンジー盆地に位置するジョン山頂、標高1,031mに設置された天文台です。この天文台は、ニュージーランドの天文学研究において重要な役割を果たしており、美しい星空を観測できる場所としても知られています。

天文台の概要

天文台には、様々な用途に対応するための5台の望遠鏡が設置されています。具体的には、口径0.61mの望遠鏡が2台、口径1.0mの望遠鏡が1台、そして口径1.8mのMOA望遠鏡が1台、さらに観光客向けの口径0.4m望遠鏡が1台です。これらの望遠鏡は、天体観測だけでなく、分光観測や系外惑星の探査など、多岐にわたる研究活動に活用されています。天文台から最も近い町は、テカポ湖という保養地で、人口は約300人程度です。

年間を通して天体観測が可能で、特に1年の約20%の夜間は写真観測に適した条件が整います。また、天体分光観測も年間を通して実施できるため、天文研究者にとって非常に貴重な観測拠点となっています。

歴史

マウントジョン天文台の歴史は、1960年にペンシルベニア大学がアメリカ国立科学財団（NSF）から研究費を獲得し、南半球における天体観測を目的として天文台の設置を決定したことから始まります。1961年からニュージーランド国内で天文台の設置候補地が選定され、1963年に現在の場所が選ばれました。同年、ペンシルベニア大学はカンタベリー大学と学術協定を結び、天文台を共同利用すること、またニュージーランドにおける研究拠点をカンタベリー大学理学部物理・天文学科に設置することに合意し、1965年7月10日に正式に開台しました。

開台当初は、ペンシルベニア大学から借り受けた天体観測用カメラと、地元のアマチュア天文家から借りた望遠鏡1台が設置されました。その後、1970年にOptical Craftsmen社製の口径0.61m望遠鏡、1975年にはBoller and Chivens社製の同口径望遠鏡が導入されました。また、1969年には、アメリカ空軍が天文台の南側に地上局を設置し、天文台までの道路舗装や水道管の設置も完了しました。それまでは、雨水を貯めて飲料水として使用していたといいます。

1970年代には、ペンシルベニア大学の研究者がフロリダ大学に移籍したことで、天文台は「カンタベリー大学-ペンシルベニア大学-フロリダ大学」の共同利用施設となりました。しかし、ペンシルベニア大学の研究者が定年退職を迎えたことで、アメリカとニュージーランドの共同研究は終わりを告げ、1975年からはカンタベリー大学の付属研究施設として運営されています。

1982年には、アメリカ空軍が設置した地上局が閉鎖され、建物はニュージーランド政府に移譲されました。その後、カンタベリー大学がこの建物をドーム型天文台に改修し、研究者向けの宿泊施設も設置しました。1986年2月には、McLellan社製の口径1.0m望遠鏡が導入され、2001年には超広視野分光器が設置されました。

1996年には、Boller and Chivens社製の口径0.61m望遠鏡とCCDカメラを用いた日本とニュージーランドの共同研究であるMOAプロジェクトが開始されました。2004年12月には、文部科学省科学研究費補助金により口径1.8mのMOA望遠鏡が設置されました。MOAプロジェクトには、カンタベリー大学、マッセー大学、ヴィクトリア大学ウェリントン、オークランド大学、名古屋大学、長野工業高等専門学校、東京都立航空工業高等専門学校が参加しています。

2005年には、観光客向けの口径0.4m望遠鏡が設置され、年間を通して一般観光客に開放されています。ただし、研究施設への立ち入りは厳しく制限されています。

2008年6月には、MOA-II望遠鏡によって観測された太陽系外惑星、MOA-2007-BLG-192Lbが発見されたことがアメリカ[[天文学会]]の会議で報告されました。この惑星は、地球から3000光年離れた場所に位置し、地球の約3.3倍の大きさで、厚い大気と液体の水が存在する可能性が指摘されています。これは、当時としては最小の系外惑星の発見であり、大きな注目を集めました。

外部リンク

• - MJUO website
• - HERCULES website
• - MOA website

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