マウントハーゲン

パプアニューギニアの山岳地方に位置するマウントハーゲンは、西部山岳州の行政府が置かれる州都です。この都市の名前は、市域の南東側にそびえる標高3791メートルのハーゲン山に由来しており、まさにその山の麓に街が広がっています。国内においては、比較的大きな都市の一つとして知られ、2011年に行われた調査では2万9765人の人口が確認されており、これは国内5番目の規模にあたります。過去の人口データを見ると、1980年の1万3446人から、1990年には1万7858人、2000年には2万7877人と、着実に増加傾向を示していることがわかります。

地理と気候

マウントハーゲンは高地に位置しているため、熱帯にありながら年間を通じて比較的冷涼な気候が特徴です。ケッペンの気候区分では、西岸海洋性気候（Cfb）に分類されています。年間の最高気温はおおむね23℃から24℃前後、最低気温は12℃から14℃前後で推移し、過ごしやすい気温環境が保たれています。一方、降水量は年間を通して豊富であり、特に雨季にあたる12月から4月にかけては降水量が多くなります。

歴史

マウントハーゲン一帯が外部世界に知られるようになったのは、比較的遅い時期でした。1933年、探検家のリーヒー兄弟らが航空機による偵察飛行を行っていた際に、当時すでに高い人口密度を持っていたこの地域を確認しました。彼らが飛行機を着陸させたことで、この地域の先住民と初めて西洋人が接触する歴史的な瞬間が生まれました。

その後、この地域には重要な産業が持ち込まれます。特に、ジャマイカから高品質なコーヒーの苗木が導入されたことは、マウントハーゲンの経済に大きな影響を与えました。この高地の冷涼な気候がコーヒー栽培に適していたことから、品質の高いコーヒー豆の生産地として発展し、現在ではパプアニューギニア有数のコーヒー産地の一つとしてその名を知られています。

さらに、1950年代以降、マウントハーゲンは文化的な側面でも注目を集めるようになります。毎年8月には、地域の様々な部族が集まり、それぞれが伝統的な装束をまとい、歌や踊りを披露する大規模な祭典、「ハイランドショー」が開催されるようになりました。このユニークで色彩豊かな祭りは、国内外から多くの観光客を惹きつけ、観光産業の振興にも大きく貢献しています。これに伴い、都市の商業活動も活発化しました。

経済と産業

マウントハーゲンの経済活動の中心は、やはり農業、中でも高品質なコーヒー豆の生産です。高地の気候と適切な栽培環境が、付加価値の高いコーヒーの生産を可能にしています。このコーヒー産業は、地域の雇用創出や経済基盤を支える重要な柱となっています。

文化と交通

前述のハイランドショーは、マウントハーゲンの文化を代表するイベントであり、地域社会の結束を示す場でもあります。多様な部族文化が一堂に会するこの祭りは、視覚的にも音楽的にも非常に魅力的です。

交通に関しては、都市の郊外にマウントハーゲン空港が設けられています。この空港は、首都ポートモレスビーとの間にニューギニア航空による定期便が日に数便運航されており、空路によるアクセスが可能です。また、陸路では、近隣の主要都市であるゴロカまで自動車で約4時間程度の距離にあります。

治安

マウントハーゲンを含むこの地域には、伝統的な黒魔術に対する根強い信仰が存在します。残念ながら、これが原因で社会的な問題が発生することもあり、2013年には黒魔術に関わる疑いをかけられた人物に対する集団的な暴力、いわゆる魔女狩りによる殺人事件やそれに伴う暴動が発生した事例も報告されています。また、パプアニューギニアの他の都市と同様に、マウントハーゲンでも強盗や置き引きといった一般的な犯罪は多発傾向にあるため、訪問者は十分な注意が必要です。

対外関係と言語

国際的な交流としては、オーストラリア連邦ニューサウスウェールズ州のオレンジ市と姉妹都市提携を結んでいます。この提携は1989年に締結されました。

都市では、公用語である英語や、パプアニューギニアで広く使われる共通語であるトク・ピシン語が使用されています。また、地元コミュニティの主要な言語としてメルパ語も話されています。

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