マカオジョッキークラブ

マカオジョッキークラブ：栄光と挫折の歴史

マカオジョッキークラブは、マカオ特別行政区において長年にわたり競馬事業を展開していた団体です。1980年の発足以来、タイパ競馬場を拠点に競走を開催してきましたが、2024年4月、政府との運営権契約解除に伴い、その歴史に幕を閉じました。本記事では、マカオジョッキークラブの興亡とその背景を詳細に探ります。

黎明期と苦闘

マカオにおける競馬の歴史は古く、17世紀まで遡ります。しかし、太平洋戦争による中断を経て、長らく競馬場が存在しない状態が続きました。1977年、カジノ運営で知られる葉漢氏らが政府から競馬開催権を獲得、マカオ・トロッティングクラブを設立。1980年9月、タイパ島に新設された競馬場で繋駕速歩競走（トロット）を開始しました。しかし、すでにマカオにはハイアライやドッグレースといった庶民向けの賭博が存在しており、トロットは人気を獲得できず、経営難に陥り1988年に開催を終了しました。

その後、台湾企業による買収、コース改修を経て、マカオジョッキークラブが1989年に競馬開催を再開します。サラブレッド競走の導入でしたが、経営はうまくいかず、わずか1年で閉鎖を余儀なくされました。

スタンレー・ホー氏による立て直しと香港との関係

1990年末、カジノ事業で巨万の富を築いたスタンレー・ホー氏の企業集団がマカオジョッキークラブを買収。1991年1月、競馬開催が再開されました。当初は香港に電話投票窓口を設置し、大きな収益源としていましたが、2002年の香港における賭博条例改正により、香港域内での賭博行為が大幅に制限され、マカオジョッキークラブは大きな打撃を受けました。

売り上げの減少を補うため、マカオジョッキークラブは中国本土からの集客や海外競馬の場外発売に力を入れていましたが、マカオにおける競馬人気は低迷し、2024年1月には累積損失が25億パタカ（約450億円）に達していました。

閉鎖とその後

経営難が深刻化したことから、2024年1月15日、マカオ政府は同年4月1日付で政府との競馬運営権契約を解除することを発表。2024年3月30日を最終開催日として、マカオジョッキークラブはすべての事業を停止しました。長きにわたる歴史に幕を閉じ、マカオ競馬界に大きな変化をもたらしました。

マカオ競馬を彩った人々

マカオジョッキークラブには、香港出身の騎手や、海外から短期免許を取得した騎手が多数在籍していました。日本人騎手も活躍しており、1994年には岡部幸雄騎手がマカオダービーを制覇するなど、数々の名勝負が繰り広げられました。調教師も、地元出身者だけでなく、香港や海外から招かれた人材が活躍していました。

まとめ

マカオジョッキークラブは、マカオにおける競馬の歴史と発展に大きく貢献しました。しかし、時代の変化や様々な要因が重なり、閉鎖という結末を迎えることとなりました。その歴史は、マカオの社会経済状況や国際的な情勢を反映しており、今後のマカオにおけるエンターテインメント産業を考える上で重要な事例として残るでしょう。今後のマカオにおける競馬のあり方が注目されます。

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