マカロフ PM

マカロフ拳銃 (PM: Pistolet Makarova)

概要

マカロフ（Pistolet Makarova）は、ソビエト連邦において自動拳銃として開発され、1951年に制式採用されました。主にソビエト連邦軍やロシア連邦軍、さらには他の準軍事組織でも採用されています。この銃の設計は、主任設計者のニコライ・フョードロヴィチ・マカロフに由来し、ドイツのカール・ワルサー社が開発したワルサーPPからの影響を受けています。

設計特性

マカロフは、中口径拳銃として知られ、単純なストレートブローバック作動方式を持ち、ダブルアクション及びシングルアクションの機能を兼ね備えています。スライドの左側面には手動式の安全装置が装備されており、ワルサーPPから受け継いだデコッキング機能も付加されています。これにより、安全装置を機能させることで撃鉄のコッキングを解除することが可能です。マカロフは、従来のトカレフTT-33と比較して、安全装置がある点で大きく改善されています。

使用される弾薬は、9x18mmマカロフ弾であり、これはドイツが第二次世界大戦末期にワルサーPPに合わせて開発した9mmウルトラ弾を基にしています。この弾薬は、ストレートブローバック拳銃で安全に使用できる限界の弾药とみなされていました。また、後に強化型のマカロフPMM弾も開発され、これに対応した構造強化型の拳銃が製造されました。

普及と使用

マカロフは、1951年以降、ソビエト連邦軍に広く配布され、将校や後方支援部隊に使用されました。また、KGBをはじめとする多くの公共機関や東側諸国でも使用され、その後もロシア国境軍や各国で利用され続けています。しかし、ロシア連邦軍は新しい弾薬に対応したMP-443 グラッチにマカロフを代替し、徐々に退役が進んでいます。

また、この銃は宇宙飛行士のサバイバルキットにも組み込まれていました。1965年にボスホート2号の乗員によって実際に使用された際、期待以上の性能を発揮できなかったため、新型キットに更新されました。

国際的な生産

マカロフは、ソビエト連邦以外でも広く製造されました。例えば、ドイツ民主共和国（東ドイツ）では1950年代後半からライセンス生産が開始され、初期モデルには独自の改良がありました。ブルガリアでも生産が行われ、当初はソ連の技術支援を受けながら製造が進められました。中国では、59式拳銃がマカロフをベースにして開発されましたが、広く配备されることはありませんでした。

日本国内での使用

近年の日本においては、マカロフが銃犯罪で使用される例が増加しています。暴力団によって使用される傾向があり、特にトカレフ型からマカロフ型へのシフトが見られます。日本国内ではロシアや中国から密輸されたマカロフが流通しており、その一部は暴力団関係者の間で「赤星」という通称で呼ばれています。

まとめ

マカロフは、その堅実な設計と優れた機能性から多くの国々で採用され続けていますが、時代と共に機能や設計は改良され、その役割も変化してきました。今後もその影響力は続くことでしょう。

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