マキナック橋

マキナック橋：ミシガン州の二つの半島を結ぶ壮大な吊橋

マキナック橋（Mackinac Bridge）は、アメリカ合衆国ミシガン州を構成するアッパー半島とロウアー半島を結ぶ、壮大な吊橋です。アッパー半島のセントイグナスとロウアー半島側のマキノーシティを結び、その全長は8,038メートルに及びます。この橋は、地元では「マイティ・マック」や「ビッグ・マック」の愛称で親しまれています。

マキナック橋の概要

マキナック橋は、その最大中央径間（主塔間）が1,158メートルで、世界で27番目の長さを誇ります。アンカーレイジ間（2,626m）では西半球最長です。この橋の完成により、それまでフェリーに頼っていた両半島の交通は、陸路で結ばれることとなりました。特に冬季には氷結のためフェリーが運航できなかった時代は終わり、マキナック橋は地域住民の生活を大きく変えました。

名称と発音の由来

この橋の名前である「Mackinac」は、現地ではcを発音せず「マキノー」に近い発音をします。しかし、日本語では土木・建設業界の慣例として「マキナック」と読まれることが一般的です。一方、地名に関しては現地の発音に近い「マキノー」または「マッキノー」という表記が多く使われています。

「Mackinac」という綴りと「マキノー」という発音は、フランス語に由来します。1715年にフランス移民が、インディアンの言葉「Machinnimakinong」を「Michilimackinac」と発音したことがその起源です。ロウアー半島の「Mackinaw」という綴りも同じく「マキノー」と発音されます。これは1761年にイギリスがフランスからこの地を奪取した際に、英語読みにするために「Mackinac」から「Mackinaw」へと改名したためです。

アンカーレイジ間世界最長の吊橋

マキナック橋は1957年11月1日に完成し、翌1958年には「アンカーレイジ間世界最長の吊橋」というタイトルを獲得しました。通常、吊橋の長さは中央径間（主塔間）で測られますが、マキナック橋はアンカーレイジ間という基準を設けることで、当時世界最長であったゴールデンゲートブリッジを上回りました。アンカーレイジ間という基準では、マキナック橋はゴールデンゲートブリッジ、サンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジ西橋の両方を凌駕しています。

東半球を含めると、1998年に完成した明石海峡大橋が中央径間（1,991メートル）、アンカーレイジ間（3,909メートル）ともに世界最長であり、マキナック橋を凌駕します。しかし、マキナック橋は吊橋部分のアンカーレイジにさしかかるまでのトラス橋部分が長いため、全長は8,038メートルにも及び、明石海峡大橋（3,911メートル）の2倍以上の長さを誇ります。

歴史

架橋への機運

マキナック橋の建設は、長年の構想と紆余曲折を経て実現しました。1880年代には、マキノー海峡を渡る橋の構想がミシガン州議会で議論されていましたが、当時はフェリーが主な交通手段でした。しかし、冬になるとマキノー海峡が氷結するため、年間を通してフェリーを運航することは困難でした。1883年にブルックリン橋が完成したことで、地元住民はマキノー海峡にも橋が架けられるのではないかと想像し始めました。

架橋計画と調査

1920年、ミシガン州道局の局長は、マキノー海峡に浮動式のトンネルを造る案を支持していました。また、別の案では、マキノーシティから複数の島を経由してアッパー半島に至る桁橋の計画が提案されました。1928年、ミシガン州知事はマキノー海峡への架橋の採算性を調査するように命じ、州道局は架橋にかかるコストを3,000万ドルと算出し、採算が取れるという結果を出しました。

1934年にはミシガン州マキノー海峡橋局が設立され、橋の採算性調査と資金調達が開始されました。しかし、連邦債の発行は失敗に終わり、第二次世界大戦の影響で計画は一時中断されました。1950年に海峡橋局が再設され、技術者が集められ、1952年には8,500万ドルの債券発行が承認されました。

設計と建設

1953年、デイビッド・スタインマンが橋の設計担当技術者に任命されました。建設は1954年に始まり、4,400万ドルのプロジェクトとしてUSスチールのアメリカ国内橋梁部門が請け負いました。建設には2年半を要し、5人の人命が失われましたが、1957年11月1日に完成し、翌1958年6月25日に正式に供用開始となりました。

マキナック橋のデザインは、かつて落橋したタコマナローズ橋の教訓を生かしています。スタインマンは吊橋の安定性の問題を分析し、橋桁を支えるためにトラスを用いること、そして風に対する抵抗力を持たせるために橋桁を箱形にすることを推奨しました。マキナック橋の設計には、これらの要素が取り入れられています。

橋のデータ

マキナック橋の主なデータは以下の通りです。

全長：8,038メートル
中央径間（主塔間）長：1,152メートル
アンカーレイジ間長：2,626メートル
車線数：4車線
車道幅：16.6メートル
橋桁の高さ：水面から約60メートル
橋桁下：中央径間部で水面から47メートル
建設総費用：9,980万ドル（1957年当時）
水面からの主塔の高さ：168メートル
水面下の主塔の最大の深さ：64メートル
ケーブルの総延長：68,000キロメートル
年間交通量：約420万台（2005年）

マキナック橋は現在、州間高速道路75号線の有料橋として利用されています。橋上の制限速度は一般乗用車72km/h、大型トラック32km/hです。毎年労働者の日には、マキナック橋ウォークというイベントが開催され、多くの人がこの橋を歩いて渡ります。

マキナック橋は、ミシガン州の二つの半島を結ぶ重要なインフラであり、その壮大な姿は多くの人々を魅了し続けています。

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