ミカド商会

ミカド商会の歴史

ミカド商会は1919年7月10日に設立された日本の映画会社で、当時の映画監督で後に「日本映画の父」と称される牧野省三が立ち上げました。設立からわずか半年で日活に吸収されることになるものの、牧野はその後独立を果たすこととなります。

設立の背景

1908年から映画事業に関与していた牧野は、日活に在籍しながら独立を目指しました。彼は「教育映画に限る」という条件のもと、1919年にミカド商会を設立。顧問として文部省の星野辰男を迎え、教育映画の制作に力を入れました。また、日活時代の助手たちを積極的に起用し、彼らのスキルを引き出しました。

特に金森万象を監督として起用し、彼が脚本を手がけた4巻の劇映画『都に憧れて』、2巻の短篇劇映画『忠孝の亀鑑 小楠公』など、いくつかの作品をリリースしました。これらの作品は、無声映画でありながら、独自の視点で描かれたストーリーが評価されました。これらの映画は1919年11月30日に東京教育博物館で公開され、多くの観客を惹きつけました。

日活への吸収

ミカド商会の活動が進展する中、日活の経営者横田はこの新たな映画会社の出現に脅威を感じ、1920年1月にミカド商会を吸収します。その結果、ミカド商会は「日活教育映画部」として再編成され、金森は再び助監督に、浜田は撮影助手として日活に戻ることとなります。さらに、金森と花房は広島県で撮影を行い、地域に密着した作品作りを進めました。

独自路線を貫く

日活に吸収された後も、牧野は映画制作を続け、尾上松之助主演の映画を監督しながらその後の独立を模索しました。最終的には翌年の1921年6月に「牧野教育映画製作所」を設立し、再び独立した制作活動を始めます。

フィルモグラフィー

• - 都に憧れて

監督・脚本：金森万象
撮影：花房種太、浜田行雄
出演：マキノ富栄、マキノ満男、片岡市太郎、牧野京子

• - 忠孝の亀鑑 小楠公

監督・脚本：金森万象
撮影：浜田行雄
出演：嵐璃珀、マキノ雅弘、片岡市太郎、マキノ光次郎

• - 処女会表彰記念会式（広島県沼隈郡処女会）

監督：金森万象
撮影：花房種太

関連事項

ミカド商会は、牧野教育映画製作所やマキノ映画製作所、さらには東亜キネマやマキノ・プロダクションなど、映画産業において多くの関連会社とつながりを持っていました。

牧野省三のどのような情熱が新たな映画の潮流を生み出していくのか、その影響は今に至るまで続いています。

もう一度検索