マクデブルクの戦い

マクデブルクの戦い

マクデブルクの戦いは、三十年戦争の最中に起こった重要な事件であり、1630年11月から1631年5月20日にかけて展開されました。この戦いは、カトリック勢力である神聖ローマ帝国軍によってプロテスタントの拠点であるマクデブルクが包囲され、最終的には崩壊に至る過程を描いています。それに伴い、都市内での略奪や虐殺が発生し、後に「マクデブルクの惨劇」と呼ばれることとなります。

背景と状況

マクデブルクは、長きにわたってプロテスタントの中心地となっていましたが、その背景には大司教ブランデンブルク公アルブレヒトが推進した贖宥状の販売があったため、住民の反発も強かったのです。シュマルカルデン戦争の結果、多くのプロテスタントはこの都市に避難し、戦争が進む中でカトリック側からの圧力が増していくこととなりました。1625年には初めて皇帝軍がマクデブルクに現れましたが、直接的な衝突には至りませんでした。しかし、1623年から施行された復旧令は、プロテスタントの教会をカトリック側に返還することを義務付けたため、緊張が高まる結果となりました。

市議会には皇帝に対して友好的な意見を持つ層と、プロテスタントを支持する層が存在し、その間で意見が分かれました。結局、庶民層の強硬派が支持を受けて市議会に影響を与え、抗戦の意志が強まりました。

包囲の始まり

戦闘は、マクデブルクが戦争税の支払いを拒んだことで始まりました。1629年夏、皇帝軍が周囲に陣地を構えたものの、戦局の変動により大規模な包囲は行われていませんでした。しかし、1630年11月からは状況が一変し、ゴットフリート・ハインリヒ・パッペンハイムとティリー伯ヨハン・セルクラエス率いる皇帝軍が駐屯し、マクデブルクは戦略的な焦点となりました。

5月20日、皇帝軍はついに総攻撃を開始。市内では、兵士たちによる略奪が行われ、火事が発生しました。この時、オットー・フォン・ゲーリケが目撃したように、無秩序な募兵たちが強盗や強姦を行い、市民は悲惨な状況に直面しました。約3万人の市民の内、わずか5000人が生き残るという惨劇が繰り広げられました。

陥落後の惨劇

マクデブルクは、数日にわたって燃え続け、その未曾有の壊滅的な事態に、支配層ですら手をこまねく状況に陥りました。最終的に、ティリー伯の命令で攻撃が終了した時には、エルベ川のほとりに搬送された死体が山積みとなり、伝染病防止のための火葬が行われる事態に至ります。

余波

この事件はプロテスタント側にとって衝撃的な出来事でした。マクデブルクというプロテスタント拠点が徹底的に破壊されたことを知った北ドイツのプロテスタント諸侯たちは、態度を一変し、スウェーデン軍への協力へと舵を切ります。また、皇帝軍による市民への残虐行為は、プロパガンダの材料となり、「マクデブルクの正義」や「マクデブルクの命乞い」といった言葉が使われるようになりました。

この戦いの結果、壊滅的な打撃を受けたマクデブルクの人口は、ヴェストファーレン条約成立時にはわずか450人にまで減少しました。この惨劇は、三十年戦争の歴史において深く刻まれることとなりました。

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