マクマト 160mm自走迫撃砲

マクマト 160mm自走迫撃砲：イスラエルの自走迫撃砲

マクマト160mm自走迫撃砲は、1960年代にイスラエルで開発された自走迫撃砲です。名称の由来はヘブライ語の「自走重迫撃砲」を意味するアクロニムから来ています。スーパーシャーマンの車体にソルタム・システムズ製のM66 160mm迫撃砲を搭載した車両で、1973年の第四次中東戦争、1982年のガリラヤの平和作戦で運用されました。

開発経緯

イスラエル国防軍は、1950年代から60年代にかけてM3ハーフトラックに迫撃砲を搭載した自走迫撃砲を運用していました。その一つが、ソルタムM65 120mm迫撃砲を搭載した「ハーフトラック Mk.D」、別名「マクマト」でした。160mm自走迫撃砲は、これらの後継機種として、第三次中東戦争後の1968年ないし69年頃に開発されました。

車両構造

カミンズディーゼルエンジンを搭載した後期型スーパーシャーマンの車体（M4A4車体）をベースに、ソルタムM66 160mm迫撃砲を搭載しています。スーパーシャーマンのエンジン搭載位置は変更せず、車体前方部分にオープントップの戦闘室を設け、その戦闘室の前寄りに迫撃砲を搭載したスタイルとなっています。射撃の際には、戦闘室の前面装甲板を前方に倒すことで、迫撃砲兵の足場として使える構造でした。

操縦席は車体の左舷側前方に位置し、戦闘室内の迫撃砲座のすぐ横に剥き出しの状態で配置されています。戦闘室右舷前方には機銃架が装着され、副武装として12.7mm M2重機関銃あるいはM1919 7.62mm機関銃を装備可能でした。

車内には4～8名の乗員と56発の160mm迫撃砲弾を搭載可能ですが、オープントップの構造のため総重量は36tに抑えられています。

実戦投入とその後

160mm自走迫撃砲は開発された直後の1973年に発生した第四次中東戦争において、同時期に開発されたソルタムL33 155mm自走榴弾砲などと共に実戦に投入されました。1982年のガリラヤの平和作戦にも投入されたと見られていますが、その後はM113装甲兵員輸送車をベースとした自走迫撃砲に更新され退役しています。

現存車両

現在、イスラエル国内の以下の博物館に実車が展示されています。

ラトルン戦車博物館
イスラエル国防軍歴史博物館
イスラエル砲兵隊博物館

関連項目

マクマト 120mm自走迫撃砲
M4中戦車
スーパーシャーマン
* ソルタムM66 160mm迫撃砲

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