ソルタムL33 155mm自走榴弾砲

ソルタムL33 155mm自走榴弾砲：イスラエルの自走砲開発史における重要な一歩

ソルタムL33 155mm自走榴弾砲は、1970年代にイスラエルで開発された自走榴弾砲です。その名称は、搭載するソルタムM68 155mm榴弾砲が33口径であることに由来します。この車両は、スーパーシャーマンの車体にソルタム・システムズ製のM68 155mm榴弾砲を搭載したもので、1973年の第四次中東戦争で実戦投入されました。

開発の背景

イスラエル国防軍は、1960年代に105mm砲を搭載したM7プリースト自走砲を輸入し、またフランス製M50 155mm榴弾砲を搭載したM50 155mm自走榴弾砲を開発し、1967年の第三次中東戦争で運用しました。その後、自走砲の射程延伸の必要性が高まり、ソルタム・システムズ社がフィンランドのタンペラ社（現・パトリア社）から製造ライセンスを購入し国産化したM68 155mm榴弾砲を搭載した自走砲の開発が行われることになりました。

ベース車体には、M50 155mm自走榴弾砲と同様にスーパーシャーマンが使用されました。L33が開発された頃には、イギリス製のセンチュリオン（ショット）やアメリカ合衆国製のM48パットン（マガフ）の導入が進んでおり、スーパーシャーマンの余剰化が進んでいました。このような背景から、M50自走砲では車体の長いM4A4車体のみをベース車体に使用していましたが、L33自走砲では標準車体型と長車体型（M4A4）の両方がベース車体として使用されています。

構造の特徴

構造としては、M50自走砲のようなエンジン搭載位置の変更は行わず、オリジナルのM4中戦車の車体中央部分に主砲を設置し、エンジンデッキも含めた車体全体を覆うように全周を箱状の装甲板で囲んだような腰高のスタイルになっています。この上部構造物は、標準車体型でもM4A4車体型でも同じものが搭載されています。そのため、標準車体型では誘導輪が戦闘室後部装甲板より内側に位置していますが、M4A4の長車体型では誘導輪が戦闘室後部装甲板よりも後方にはみ出しており、その上に泥除けが追加されたような形状となっています。

戦闘室左舷前方には操縦者用座席があり、防弾ガラスをはめ込んだ視察窓が取り付けられています。この位置も通常のM4中戦車に比べればかなり高い位置にあります。戦闘室上面には両サイドにハッチが設けられており、右舷側ハッチには副武装として12.7mm M2重機関銃あるいはM1919 7.62mm機関銃を装備可能です。

車内には8名の乗員と60発の155mm砲弾を搭載可能で、全体の重量はM51スーパーシャーマンの約39tを上回る約41.5tとなっており、最高速度は時速35km程度に低下しているとされています。

実戦投入とその後

L33は開発された直後の1973年に発生した第四次中東戦争で実戦に投入されました。その後はM50自走砲と同様、アメリカ製のM109 155mm自走榴弾砲、M107 175mm自走カノン砲、M110 203mm自走榴弾砲の配備が進んだことにより1990年代以降に退役が進められました。

現在、イスラエル国内のラトルン戦車博物館およびイスラエル砲兵隊博物館に実車が展示されています。

ソルタム社はL33の後継としてソルタムM72 155mm自走榴弾砲を自社開発しイスラエル軍および輸出市場に提案しましたが、こちらは制式採用には至りませんでした。

関連情報

M4中戦車
スーパーシャーマン
ソルタムM68 155mm榴弾砲
M50 155mm自走榴弾砲：L33自走砲の前身に相当する155mm自走砲。同じくスーパーシャーマンをベースとする。
* ソルタムM72 155mm自走榴弾砲

ソルタムL33は、イスラエルの自走砲開発における重要な一歩であり、その経験は後の自走砲開発に活かされました。

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