マクムード・アブドゥル＝ラウーフ

マクムード・アブドゥル＝ラウーフ：波乱万丈なバスケットボール選手の生涯

マクムード・アブドゥル＝ラウーフ（Mahmoud Abdul-Rauf）は、1969年生まれ、アメリカ合衆国ミシシッピ州出身の元プロバスケットボール選手です。元々はクリス・ウェイン・ジャクソン（Chris Wayne Jackson）という名前でしたが、1991年にイスラム教に改宗した際に改名しました。身長185cm、体重74kgと小柄ながら、ガードとしてNBAで活躍しました。

NBAでの活躍

1990年のNBAドラフトでデンバー・ナゲッツから指名を受け、プロキャリアをスタートさせました。ナゲッツでは主力選手として活躍し、1993-94シーズンには平均19.2得点、2.8リバウンド、4.2アシストという好成績を記録。この活躍が認められ、MIP賞（最も成長した選手に贈られる賞）を受賞しました。また、1993年にはオールスターのスラムダンクコンテストにも出場し、その身体能力を披露しました。フリースローの名手としても知られ、1994年と1996年にはフリースロー成功率でリーグトップに輝いています。

ナゲッツ退団後は、サクラメント・キングス、バンクーバー・グリズリーズでプレーしました。その後、NBAを離れ、ヨーロッパのリーグでもプレーしました。

NBA以外での活動

NBA引退後は、故郷であるミシシッピ州ガルフポートにモスクを建設し、イマーム（指導者）となりました。モスクを建設したのは、地域社会をドラッグや犯罪から守りたいという強い思いがあったからです。

2009年には、日本のbjリーグである京都ハンナリーズに入団し、現役復帰を果たしました。ヘッドコーチは、ナゲッツ時代にチームメイトだったデービッド・ベンワーでした。2009-10シーズンには、ベスト5に選出されるなど、日本でもその実力を発揮しました。

アメリカ合衆国国歌斉唱問題

アブドゥル＝ラウーフは、試合開始前の国歌斉唱時に起立しなかったことで、物議を醸しました。彼は、アメリカ国旗を抑圧や専制政治の象徴と捉えており、イスラム教の信仰に基づいて起立を拒否しました。この行動に対し、NBAは彼を1試合出場停止処分としましたが、その後、リーグとアブドゥル＝ラウーフは和解し、国歌斉唱中にイスラム教徒が祈りを捧げることが認められるようになりました。

人物像

アブドゥル＝ラウーフは、ゲイリー・ペイトンからトラッシュトークの標的にされ、改名前の名前である「クリス・ジャクソン」を繰り返し囁かれたことがあります。また、彼はトゥレット障害という神経質な病気を抱えており、シュートの際にはボールがリングに真っ直ぐ入ることに強いこだわりを持っていました。そのこだわりが、高いフリースロー成功率に繋がったと言えるでしょう。

マクムード・アブドゥル＝ラウーフは、バスケットボール選手としてだけでなく、信仰心の篤いイスラム教徒としても、困難に立ち向かい、自らの信念を貫いた人物です。彼の波乱万丈な人生は、多くの人々に勇気と感動を与えています。

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