マクラーレン・MP4/6

マクラーレン MP4/6

マクラーレン MP4/6は、1991年のF1世界選手権に向けて設計されたフォーミュラ1カーである。この車両は、ニール・オートレイがチーフデザイナーを務め、エアロダイナミストのアンリ・デュランによって設計された。MP4/6は、マクラーレンにとってホンダV12エンジンを初めて搭載したモデルであり、F1史上唯一のV12エンジンを用いたチャンピオンマシンでもある。

1991年のシーズン開幕戦から最終戦まで実戦投入され、翌1992年の最初の2レースでは派生モデルであるMP4/6Bが使用された。この車両の開発において、ホンダはV12エンジンを新たに開発したが、シーズンの初めには前年のV10エンジンと比べてパワー不足が目立った。アイルトン・セナはプレシーズンテストでエンジンの改善に取り組むこととなる。

MP4/6はHパターン式の6速マニュアルトランスミッションを採用し、当時の他チームに比べてまだセミオートマチックトランスミッションが普及していなかった。マクラーレンもハンガリーGPでこのセミATをテストし、翌年のMP4/7Aでは実際に採用されている。このモデルでは、V10からの変更に伴いホイールベースが40mm延長され、燃料タンクも大型化された。空力の改善については、アンリ・デュランが多くの手を加え、フロントサスペンションの形式をプルロッド式から、フェラーリに似たプッシュロッド式に変更した。これにより、赤外線ノーズデザインが採用され、サイドポンツーンもフェラーリのデザインに類似した形状となった。

1991年シーズンが進む中、状況は次第に変化を見せる。アイルトン・セナはアメリカGP、ブラジルGP、サンマリノGP、モナコGPの4レースにおいて連勝を達成したが、ウィリアムズ・FW14の優れた信頼性と性能が影響を及ぼし、セナはホンダにエンジンの強化を要求することとなった。ホンダは、低回転域でのトルク生成を最適化するために可変吸気管長システムをベルギーGPから導入し、シェルガソリンの質も向上させた。オートレイは、特にサイドポッドとウイングに焦点を当て、コンストラクターズチャンピオンシップでの競争力を保とうとした。

ウィリアムズが強力なパフォーマンスを見せる中で、マクラーレンは依然として表彰台常連チームとしての位置づけを確立した。結局、ハンガリーGPとベルギーGPの際のトラブルが影響し、マクラーレンはコンストラクターズチャンピオンシップを4年連続で獲得。この成果は、セナがナイジェル・マンセルとの争いを制し、3度目のドライバーズタイトルを手にしたことでより際立った。

シャーシの仕様とミニカー展開

MP4/6は、シャーシ名で知られる「MP4/6」として伝えられ、速度ラインホイールとグッドイヤータイヤを装備し、トランスミッションは6速マニュアル、エンジンはホンダRA121EのV型12気筒を搭載。重量は150キログラムである。

さらに、MP4/6Bというモデルも存在し、1992年シーズンからは改良が施されたMP4/6Bが導入され、開幕戦の南アフリカGPから戦い始めた。序盤の3戦ではこのモデルで挑み、やがてMP4/7Aにスイッチする予定だったが、競争相手であるウィリアムズ・FW14Bの優れたパフォーマンスに対抗できず、予定を前倒ししてMP4/7Aへと切り替えた。

ミニカーに関しては、タミヤやフジミ模型から多様なスケールでモデルが発売されており、特にタミヤは1/12サイズのプラスチックモデルやRCカーなど、豊富なラインナップを誇る。また、ミニチャンプスも高品質なモデルを展開し、アイルトン・セナをテーマとしたコレクションを展開している。これにより、MP4/6の存在は今も尚多くのファンに記憶されている。

このように、マクラーレン MP4/6はその歴史的な背景とともに、エンジン開発の挑戦、競技での成功、さらには模型への展開によって、F1における重要なアイコンとなっている。

もう一度検索