マグダ・タリアフェロ

マグダ・タリアフェロ（本名：Magdalena Maria Yvonne Tagliaferro）は、1893年1月19日にブラジルで生を受け、1986年9月9日にその生涯を閉じた、ブラジル出身でありながら主にフランスで活躍した著名なピアニストです。

彼女は音楽の研鑽を積む中で、アントナン・マルモンテルに師事した後、高名なアルフレッド・コルトーの薫陶を受けました。コルトーが追求した音楽理念の探求に生涯を捧げ、その結果、明晰さと甘美さが絶妙に溶け合った、極めて個性的な演奏スタイルを確立しました。彼女の演奏は、豊かな内面的な表現力と深い情感、そして演奏する楽曲全体の構成を捉える古典的なバランス感覚によって特徴づけられました。

特にフランス音楽の解釈に優れた才能を示し、作曲家ガブリエル・フォーレから強い信頼を得て、彼の演奏旅行にしばしば同行しました。タリアフェロはフォーレの多くの作品を積極的に演奏し、その普及に大きく貢献しました。彼女のキャリアは非常に長く、ヨーロッパはもちろん、アフリカ、南米、アジアを含む世界30カ国以上の主要都市で数多くの演奏会を行い、国際的に高い評価を確立しました。

活動の中で、タリアフェロは20世紀を代表する数々の著名な指揮者たちと共演しています。例えば、ヴァンサン・ダンディ、フェリックス・ワインガルトナー、ピエール・モントゥー、ヴィレム・アンゲルブレシュト、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ハンス・クナッパーツブッシュ、イサイ・ドブローウェン、シャルル・パレー、ジョルジュ・イヨネスク＝ガラティといった巨匠たちの指揮のもと、名だたるオーケストラと共演し、その演奏の幅広さを示しました。

さらに、コルトー自身やヴァイオリニストのジャック・ティボー、チェリストのパブロ・カザルスといった同時代の偉大なソリストたちとも頻繁に共同演奏会を行い、室内楽の分野でも深い音楽性を披露しました。

作曲家たちとの関わりも深く、多くの作曲家が自身の新作の初演を彼女に託しました。また、彼女自身も、ガブリエル・ピエルネ、レイナルド・アーン、エイトル・ヴィラ＝ロボス、ジャン・リヴィエールといった作曲家たちに積極的に新作の創作を依頼するなど、同時代の音楽の紹介にも尽力しました。

驚異的なことに、タリアフェロはその90代に至るまで、ピアニストとして現役であり続けました。磨き抜かれた技巧と深い表現力は晩年も衰えることなく、聴衆や批評家から変わらぬ高い評価と尊敬を集め続けました。そして、ブラジルの故郷であるリオ・デ・ジャネイロにて、波乱に満ちた偉大な音楽家の人生に幕を下ろしました。

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