マザウェイズ・ジャパン

マザウェイズ・ジャパン株式会社は、かつて日本国内において「マザウェイズ (motherways)」ブランドで子供服やベビー用品、雑貨などを販売していた企業です。1991年11月に設立され、イギリスのマザーケア社との提携により日本での事業を開始しました。豊富な品揃えで子育て世代を中心に広く知られましたが、経営難に陥り、2019年 7月16日に大阪地方裁判所から破産手続き開始決定を受け、倒産しました。

概要

同社は1991年11月の設立と同時に、イギリスのマザーケア社と契約を結び、日本市場での事業を開始しました。ベビー用品、子供服、子供向け雑貨など、4000種類を超える幅広いアイテムを取り揃え、子育て世代からの相応の知名度を獲得しました。アウトレット商品を扱う子会社として、2015年2月にはネイバーズ株式会社を設立しています。経営破綻直前の売上高は、2018年1月期が約83億5,600万円、翌2019年1月期も約83億円でした。

倒産の経緯

マザウェイズ・ジャパンの業績は、いくつかの要因が複合的に重なり悪化しました。2013年以降の為替変動（円安）による輸入商品仕入れ価格の高騰分を販売価格に転嫁せざるを得なくなったことが、業績悪化の一因となりました。加えて、少子化の進行や、低価格帯を強みとするファストファッションブランドの台頭により市場競争が激化し、価格競争力を失い売上は減少傾向に転じました。特に2016年1月期には業績が大幅に落ち込みました。

積極的な新規出店による金融債務の増加も経営を圧迫しました。資金繰りに窮した同社は、借り入れ継続のために、2016年1月期には粉飾決算に手を染めるという不正行為に至ります。これにより2018年から資金調達に支障をきたすようになりました。さらに、2018年の暖冬による秋冬物商品の売上不振が追い打ちをかけ、これが遠因となり、2019年1月期にも再び粉飾決算を繰り返しました。にもかかわらず、倒産直前まで新規出店は継続されていました。

経営悪化が深刻化する中で、マザウェイズ・ジャパンは2019年3月頃からM&A仲介業者を通じて支援スポンサーを探しましたが、見つけることはできませんでした。不採算店舗の閉鎖に伴う費用すら負担できないほど財務状況は悪化しており、同年6月末に借換期限が迫る中、業績回復の見込みが立たないことから事業の継続を断念せざるを得なくなりました。

2019年6月30日、同社は子会社であるネイバーズ、関連会社の根来とともに大阪地方裁判所へ破産を申請し、翌7月1日付で保全管理命令を受けました。ある社員は、倒産数ヶ月前から給与の未払いが発生するなど、倒産の予兆があったと語っています。保全管理命令後、SNS上では前澤友作氏に対し買収を求める投稿や、解雇された元社員からの書き込みが見受けられました。

保全管理命令後も店舗営業は続けられましたが、7月2日からの大幅値下げセールでは人員不足によるレジ待ちなど混乱が生じました。店舗在庫はほぼ完売し、7月4日までにほぼ全店舗が閉店しました。

2019年 7月16日、3社は大阪地方裁判所から正式に破産手続き開始決定を受けました。在庫商品は破産管財人によって換価処分が進められ、同年11月までに完了しました。商標権は2021年2月にクロスプラス株式会社へ譲渡されましたが、同社は現在ブランド展開は行っていません。根来が所有していた不動産も処分されました。

子会社のネイバーズは2020年9月8日に、関連会社の根来は2021年9月24日に、マザウェイズ・ジャパン本体も2022年5月11日にそれぞれ法人格が消滅し、その歴史に幕を下ろしました。

店舗

経営破綻時点の2019年には、マザウェイズ・ジャパンは首都圏を中心に日本全国に94店舗、子会社のネイバーズがアウトレット店舗3店舗と武蔵小山店を展開していました。主な出店形態は、ショッピングセンター内のテナントであり、イオンなどの郊外型商業施設にも多数出店していました。

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