暖冬

暖冬とは何か？そしてその原因

暖冬とは、1991年から2020年の平均気温と比べて、12月から2月にかけての平均気温が特に高い冬のことを指します。気象庁は、この3ヶ月の平均気温に基づいて冬の気温を分類しており、その基準を満たした冬を「暖冬」と定義しています。しかし、暖冬といっても、その気温の変動パターンは様々です。平均気温は高いものの、気温の変化が穏やかな年や、暖気の影響による急激な高温と寒波の到来が交互に起こる年など、年によって状況は大きく異なります。

暖冬の直接的な原因は、冬型の気圧配置が長く続かないことにあります。そのため、シベリアからの寒気が日本に流れ込む現象が、一時的になったり、全く発生しなかったりするのです。エルニーニョ現象が発生すると暖冬になりやすい傾向がありますが、ラニーニャ現象の発生時にも暖冬となる年があるため、その関連性は必ずしも明確ではありません。地球温暖化や地球規模の気候変動との関連も指摘されていますが、まだ解明されていない部分が多くあります。

また、暖冬は必ずしも降雪量が平年より少ないとは限りません。気温が高いために雪が湿りやすく、積雪量が増えることもあれば、南岸低気圧の通過増加によって太平洋側で降雪量が増えることもあります。特に北海道では、暖冬でも多雪となるケースがあります。

1987年以降の暖冬傾向：異変とその要因

日本では1987年から1995年にかけて、暖冬が続きました。それまで頻繁に発生していた寒冬は激減し、9年連続で暖冬が続いたのです。この期間、特に1988年1月、1989年、1990年2月と12月、1991年の北日本、1992年、1993年、1998年2月などは記録的な暖冬となりました。マスメディアでは「暖冬異変」と報じられたほどです。

その後、北日本では暖冬と寒冬が周期的に現れるようになりましたが、東日本と西日本、南西諸島では、依然として暖冬が多い傾向が続いています。2000年代には、2000年1月、2002年1・2月、2004年2月及び12月、2007年（特に2月）、2009年（特に2月）が記録的な暖冬となりました。

暖冬の要因としては、地球温暖化と太陽活動が挙げられていますが、これだけでは全ての現象を説明できません。北極振動や北大西洋振動といった気候現象との関連も指摘されていますが、まだ研究の余地があります。その他、日本海の水温、太平洋高気圧の勢力、偏西風の変化なども、暖冬を予測する目安となっています。

気象庁における暖冬の基準

気象庁は、地域平均気温の平年差に基づいて、「暖冬」と「大暖冬」を定義しています。基準は地域によって異なり、例えば北日本では、平年差が+0.4℃以上を暖冬、+1.0℃以上を大暖冬と定義しています。

都市化の影響

日本の気温統計は、古くから観測が行われてきた気象台や測候所のデータが主に使用されています。しかし、これらの観測地点の多くは都市化が進み、観測環境が大きく変化しました。都市化による人工的な熱の影響で、特に冬場の最低気温が上昇し、平均気温を引き上げているという指摘があります。特に、北日本の内陸部の観測地点でその影響は顕著です。近年では、観測地点の移転も、平均気温の上昇に影響していると考えられています。

社会への影響

暖冬は、農業、消費生活、生態系に様々な影響を与えます。農業では、冬野菜の供給過剰や春以降の農業用水不足といった問題が発生する可能性があります。消費生活では、冬物衣料の売れ行き不振や、ウィンタースポーツ産業への打撃などが懸念されます。生態系では、動物の冬眠行動の変化や外来生物の繁殖など、生態系のバランスが崩れる可能性があります。

過去の主な暖冬

日本における過去の主な暖冬事例は、本文に記載されている通りです。1948-1949年、1988-1989年、1989-1990年、1990-1991年、2006-2007年、2009-2010年など、記録的な暖冬となった年がいくつもあります。これらの事例を分析することで、将来の暖冬予測に役立つ情報が得られるでしょう。

まとめ

暖冬は、単に気温が高い冬というだけでなく、様々な要因が複雑に絡み合って発生する現象です。地球温暖化や都市化の影響も無視できません。今後も、暖冬の傾向が継続する可能性が高いため、その影響を予測し、対策を講じる必要があります。

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