マジェスティック (客船・2代)

マジェスティック：波乱に満ちた生涯を送った巨大客船

マジェスティックは、ホワイト・スター・ラインが運航した豪華客船です。しかし、その始まりはドイツのハンブルク・アメリカ・ラインが計画した「ビスマルク」でした。第一次世界大戦の勃発により、その運命は大きく翻弄されることになります。

建造から引き渡しまで

ハンブルク・アメリカ・ラインは、5万総トン級の大型客船3隻による北大西洋航路サービスの展開を計画しました。その3番船として建造されたのが、マジェスティックの原型となる「ビスマルク」です。1914年6月20日、ドイツのブローム・ウント・フォス社で進水式が行われ、オットー・フォン・ビスマルクの孫娘によって命名されました。

しかし、第一次世界大戦の勃発により、艤装中のビスマルクの建造は中断。未完成のまま、戦後賠償としてイギリスに引き渡されることになりました。ブリタニックの代償として、ホワイト・スター・ラインとキュナード・ラインの共同所有（後にホワイト・スター・ライン単独所有）となり、「マジェスティック」と改名されました。ブローム・ウント・フォス社に仕上変更書が渡され、1922年に総トン数56,551トンの当時世界最大の客船として竣工しました。しかし、造船所はハンブルク・アメリカ・ラインの塗装で完成させたため、イギリス側船主の怒りを買うという一幕もありました。

この背景には、ハンブルク・アメリカ・ラインのアルベルト・バリーンがいました。彼は戦争回避を国王に訴えましたが聞き入れられず、敗戦により自らが育てた船隊の解体に悲観し、自ら命を絶っています。

客船としての活躍

マジェスティックは、1922年5月に処女航海を行い、ホワイト・スター・ラインの旗艦として北大西洋航路に就航しました。その人気は高く、1923年には北大西洋航路で最も多くの乗客を運んだ客船となりました。また、1924年、1926年、1928年、1930年にも、姉妹船よりも多くの乗客を運び、「マジック・スティック」という愛称で呼ばれるようになりました。

1924年には船体に100フィートのひびが発生するアクシデントもありましたが、修理を経て運行を継続。1925年には北大西洋航路で自己最速となる平均速力25.0ノットを記録しました。1934年にホワイト・スター・ラインとキュナード・ラインが合併し、キュナード・ホワイト・スター・ラインに移籍しましたが、1936年に引退するまで活躍を続けました。

練習船カレドニアへの転身

引退後、マジェスティックはイギリス海軍に売却され、練習船「カレドニア」として生まれ変わりました。1937年からは、士官候補生1,500人を収容する停泊練習船として使用されました。

しかし、1939年9月29日、カレドニアは火災事故に見舞われ、着底。全損となってしまいます。1940年3月にはスクラップとして売却されましたが、1943年に完全に解体されるまでその残骸は残されていました。その壮大な姿は、歴史の中にその名を刻んでいます。

参考文献

海人社『世界の艦船』1978年8月号 No.258
海人社『世界の艦船』1984年3月号 No.333
海人社『世界の艦船』1988年6月号 No.394
海人社『世界の艦船』1989年5月号 No.407
NTT出版『豪華客船の文化史』野間恒著 1993年4月 ISBN 4-87188-210-1

外部リンク

Mark Chirnside's Majestic Page
Majestic Home at Atlantic Liners
Majestic at the White Star Line History Site
Chris' Cunard Page
The Great Ocean Liners: Majestic

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