マジック・バス

マジック・バス (Magic Bus)

「マジック・バス」は、イギリスのロックバンド、ザ・フーが1968年にシングルとしてリリースした楽曲です。ピート・タウンゼンドによって作詞・作曲されました。この楽曲は、当初オリジナルアルバムには収録されませんでした。

解説

ピート・タウンゼンドは、「マジック・バス」を「マイ・ジェネレーション」とほぼ同時期に書いたと語っています。興味深いことに、ザ・フーが発表する以前に、デッカ・レコードに所属していたプティングというバンドによって1967年4月に発表されていました。

この曲は、ボー・ディドリーのリズムを取り入れた特徴的な楽曲です。タウンゼンド自身は、「ザ・フーの楽曲の中で、演奏していて最も楽しい曲の一つ」と述べていますが、ジョン・エントウィッスルはベースパートの単調さから、この曲をあまり好んでいなかったようです。ジェス・ローデンがコーラスで参加しています。イギリスでのシングルは最高26位と、前作「ドッグス」の25位を下回る結果となりましたが、アメリカでは25位を記録しています。

「マジック・バス」は、即興演奏的な要素が強いため、コンサートで頻繁に演奏され、時には10分を超える長尺になることもありました。1970年のリーズ大学でのライブは、ライブ・アルバム『ライヴ・アット・リーズ』に収録されており、7分を超える演奏を聴くことができます。

別バージョン

「マジック・バス」には、オリジナルを含めて以下の5つのバージョンが存在します。

1. オリジナル・バージョン: モノラル・ミックスで、演奏時間は約3分20秒です。
2. ステレオ・ミックス: 編集盤『マジック・バス～ザ・フー・オン・ツアー』(1968年）に収録されています。
3. ロング・バージョン: 編集盤『ミーティ・ビーティ・ビッグ・アンド・バウンシィ』(1971年）と『ヒッツ50』（2014年）に収録された約4分半のバージョンです。擬似ステレオ・ミックスで、ボーカルがダブル・トラックになっており、エンディングがフェイドアウトしません。
4. イントロダクションが長いバージョン: 編集盤『ザ・シングルズ』（1984年）に収録されています。『ミーティ・ビーティ…』に収録されたものと基本的に同じですが、イントロが長くなっています。
5. イントロダクションが長いステレオ・バージョン: 編集盤『マジック・バス～…』CDに収録されています。

映画『キッズ・アー・オールライト』

1968年10月7日、この曲の演奏を模したリップシンクのモノクロ映像が、当時西ドイツのブレーメンにあったダス・エルステのテレビ番組『ビート・クラブ』のスタジオで撮影され、10月12日と11月16日に放送されました。この映像の一部は、ドキュメンタリー映画『キッズ・アー・オールライト』（1979年）に収録され、楽曲もアルバム『キッズ・アー・オールライト (サウンドトラック)』に収録されています。

参考文献

Neill, Andy; Kent, Matt (2007). Anyway Anyhow Anywhere: The Complete Chronicle of The Who 1958-1978. London: Virgin Books. ISBN 978-0-7535-1217-3
アンディ・ニール; マット・ケント (2008). エニウェイ・エニハウ・エニウェア. 佐藤幸恵、白井裕美子（訳）. シンコーミュージック. ISBN 978-4-401-63255-8

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