マダム・セクレタリー

『マダム・セクレタリー』（Madam Secretary）

概要

『マダム・セクレタリー』は、2014年から2019年にかけてアメリカCBSで放送された政治ドラマシリーズです。バーバラ・ホールが企画を手がけ、ロリー・マクリアリーや俳優のモーガン・フリーマンらが製作総指揮を務めました。主演のティア・レオーニが演じるのは、主人公エリザベス・アダムス・マッコード。彼女は元CIAの情報分析官でしたが、ある日突然、アメリカ合衆国国務長官に就任することになります。このドラマは、彼女が国務長官として直面する国内外の様々な危機や政治的な陰謀、そして多忙な公務と家庭生活の両立に苦労する姿をリアルかつ人間味豊かに描いています。

物語は2014年9月21日に始まり、全22話からなる第1シーズンが放送されました。その後、第2シーズンへの更新が決定し、最終的には2019年の第6シーズンをもって完結しました。

物語の核心

エリザベス・マッコード（愛称：ベス）は、バージニアで家族と牧場を営み、大学で教鞭をとる穏やかな生活を送っていました。しかし、前任の国務長官が不慮の事故で亡くなったことを受け、コンラッド・ダルトン大統領からの直接の要請により、その重責を担うことになります。就任早々、前任者の死にまつわる不審な情報を掴んだベスは、やがてアメリカとイランを巡る国際的な陰謀に巻き込まれていきます（シーズン1）。

彼女の職務は多岐にわたり、国際交渉、テロ対策、人道支援など、世界を股にかけて活躍します。また、エアフォース・ワンの通信途絶により一時的に臨時大統領となるなど、予測不能な事態への対応も迫られます（シーズン2）。シーズンが進むにつれて、ベスはダルトン大統領の後継者としての道を歩み始め、最終シーズンではアメリカ初の女性大統領となります。しかし、そこでも弾劾の危機に直面するなど、困難が続きます。

主要登場人物

ベスを取り巻く人々も、物語に深みを与えています。

マッコード家:
ヘンリー・マッコード: ベスの夫。宗教学者であり元海兵隊パイロット。後に安全保障局やCIAの任務に協力し、対テロ情報機関のメンバーとしても活躍します。最終シーズンではファースト・ジェントルマンとなります。
子供たち: 長女ステファニー（スティーヴィー）、次女アリソン、長男ジェイソン。公務に追われる母親との関係や、それぞれの道を模索する姿が描かれます。特にスティーヴィーは、大統領首席補佐官のもとでのインターンや、ディミトリーとの関係を通して物語に深く関わります。

国務省チーム: ベスを支える個性豊かなスタッフたちです。
ブレイク・モラン: 国務長官秘書。元金融マンで、誠実な仕事ぶりを見せます。ベスが大統領就任後も秘書として仕えます。
デイジー・グラント: 報道官。仕事とプライベートの間で様々な経験をします。後に大統領報道官となりますが、選挙関連の問題で辞任することになります。
マット・アサド・マホーニ: スピーチライター。イスラム教徒であり、独特の視点からベスを支えます。
ジェイ・ホイットマン: 上級政策顧問を経て首席補佐官となります。知的で有能な側近です。最終回では大統領首席補佐官に就任します。
ナディーン・トリバー: シーズン4までの首席補佐官。前任長官との関係に複雑な過去を持ちますが、後に家族との生活を選び退官します。
キャット・サンドバル: ジェイの後任の上級政策顧問。LGBTQであることをオープンにしています。
マイケル・バーナウ（マイクB）: ベスの個人的なアドバイザー。政界の裏側に通じ、ベスの大統領選挙をサポートします。

ホワイトハウス:
コンラッド・ダルトン: アメリカ合衆国大統領。ベスの元上司であり、彼女を国務長官に抜擢しました。任期中に様々な困難に直面しますが、ベスを信頼し、後任として託します。
ラッセル・ジャクソン: 大統領首席補佐官。政治のプロフェッショナルであり、ダルトン大統領の最も重要な側近です。後にベスのもとでも一時的に首席補佐官を務めますが、最終的には政界から引退します。

情報機関: CIAやNSAなどが登場し、サスペンス要素を担います。
ディミトリー・ペトロフ: ロシアの元軍人。姉の病気治療と引き換えにアメリカの協力者となり、ヘンリーやマッコード家と深く関わります。後にCIAの特別行動部員となり、最終回ではスティーヴィーと結婚します。

国際関係と敵対勢力

ドラマでは、中国外相チェン・ミーンやイラン外相ジャヘッド・ジャバニといった他国の要人との交渉が描かれます。特にチェン外相とジャバニ外相は、敵対的な立場ながらもベスが信頼を置く人物として描かれています。また、ISILやヒズボラといった実在のテロ組織に加え、架空のテロ組織ヒズブ・アルシャヒドなど、様々な敵対勢力との戦いも重要なテーマとなっています。

特徴

『マダム・セクレタリー』は、現代の国際政治が抱える複雑な問題や外交の駆け引きを詳細に描き出しつつ、主人公ベスとその家族の人間ドラマを丁寧に描いている点が特徴です。政治の世界での理想と現実のギャップ、倫理的な葛藤、そして困難な状況下での家族の絆といったテーマが貫かれています。コリン・パウエル氏、ヒラリー・クリントン氏、マデレーン・オルブライト氏といった実際のアメリカ合衆国国務長官経験者たちが本人役でゲスト出演したことも、話題となりました。

国内外の政治、スリリングなサスペンス、そして温かい家族愛が融合した、見ごたえのあるシリーズです。

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